在宅勤務への切り替わりにより機会の減って残念な作業の一つがパソコンの分解だ。ハードディスクの物理的な破壊が面倒で放りっぱなしの自宅のパソコンよりも、消磁装置が備え付けられている勤め先は分解だけを安心して愉しむことが出来る。台数が少ないから笑ってもいられるものの、要らなくなったパソコンはデスクトップでもノートでも手に取ると心が弾む。薄すぎて消磁装置に入るネットブックはつまらない。効率性から考えればドライバーを握るよりも装置に入れられるほうに軍配は上がるものの、分解の方法をインターネットで検索しながら小さな会議室を一つ借りて閉じこもり、裏返したパソコンの蓋を開ける作業は箱根細工をこじ開けるような心地がする。
蓋を開けるとファンから侵入した埃が薄くフィルタやハードディスクに積もっている。ノートパソコンの場合はネジを取り外せばすぐにハードディスクを取り出すことができるので、そもさん蓋を外す手順がメーカーごとに異なるデスクトップのほうが面白い。NECなど日本のメーカー品はそれこそ秘密箱のように、コツさえ知っていれば実にあっさりと弾けるように蓋が外れるのだが、それに気づかなければ徒労の時間が過ぎてゆく。考えても仕方のない時は先人がたいがいYoutubeに分解方法を掲載しているのでそれを見ながらなぜこの方法がわからなかったのだろうと頭をひねる。壁一枚挟んだ机では先輩社員が急な決裁の入力に追われている。私はドライバーを置いて、ハードディスクを取り囲む金属の枠に力を込めながら少しずつ周囲を剥がしてゆく。
最後にハードディスクを固定するネジを取り外せば今度は蓋が閉まるように中身を元に戻さなければならないものの、直す必要も再利用の予定もない金属の箱の蓋が多少浮き上がるほどの乱雑さが許されるところが、壊れるものを更に壊してしまった罪悪感を打ち消してゆく。
蓋を開けるとファンから侵入した埃が薄くフィルタやハードディスクに積もっている。ノートパソコンの場合はネジを取り外せばすぐにハードディスクを取り出すことができるので、そもさん蓋を外す手順がメーカーごとに異なるデスクトップのほうが面白い。NECなど日本のメーカー品はそれこそ秘密箱のように、コツさえ知っていれば実にあっさりと弾けるように蓋が外れるのだが、それに気づかなければ徒労の時間が過ぎてゆく。考えても仕方のない時は先人がたいがいYoutubeに分解方法を掲載しているのでそれを見ながらなぜこの方法がわからなかったのだろうと頭をひねる。壁一枚挟んだ机では先輩社員が急な決裁の入力に追われている。私はドライバーを置いて、ハードディスクを取り囲む金属の枠に力を込めながら少しずつ周囲を剥がしてゆく。
最後にハードディスクを固定するネジを取り外せば今度は蓋が閉まるように中身を元に戻さなければならないものの、直す必要も再利用の予定もない金属の箱の蓋が多少浮き上がるほどの乱雑さが許されるところが、壊れるものを更に壊してしまった罪悪感を打ち消してゆく。