電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響スクリーン・ミュージック・コンサートを聴く

2008年11月17日 06時28分27秒 | -オーケストラ
11月16日の日曜日は、午前中に諸々の用件を済ませ、午後から山形県郷土館「文翔館」特別企画展「五百沢智也が描くふるさとの山々」を見学、原画の細密さと拡大複製した展示のダイナミックさにうたれ、その足で県民会館へまわりました。山響スクリーン・ミュージック・コンサートです。プログラムはやけに簡素なペラペラの色上質紙を二つ折りにしたものが一枚だけ。いつもの立派な山響定期演奏会のプログラムに馴染んだ目には、料金が高いのにずいぶん手抜きに感じます。今回は主催が山形新聞・山形放送で、2008やまがた映画博の特別企画という位置づけですし、細かな所で少しずついつもと違います。

さて、第1部の幕開け、1曲めは、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」から。オリジナルの楽劇にはつきもののブリュンヒルデの叫びはありませんが、映画「地獄の黙示録」の音楽です。ホルンのロング音がお見事!重量級ではないけれど、見通しの良いワーグナーです。
続いて2曲目は、シベリウスの交響詩「フィンランディア」。この曲は、スクールコンサート等でも演奏機会が多いのでしょうか、手の内に入った曲目のようです。以前、村川千秋さんの指揮で、合唱つきバージョンで聴いたことがありますが、今回は合唱なし。私は、どうしてもガンで亡くなった昔の仲間を六日町教会で見送ったときに歌った賛美歌を思い出してしまいます。「ダイハード」とは結びつきません。
案内役の荒井幸博さんは、舞台上部に降りてくるスクリーンに映画の代表的なシーンを映しながら、映画の主題や特徴を簡潔に要約、ときどき飯森さんも加わって、音楽も上手に紹介していました。
第3曲めは、映画「2001年宇宙の旅」から、ヨハン・シュトラウスの「美しき青きドナウ」。今年の1月に、川中子紀子さんを加えた山響ニューイヤーコンサートで楽しんだばかり。ホルンとチェロがゆったりとした旋律を奏します。
最後の第4曲、ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」の第1楽章。高畑勳監督作品の、宮沢賢治原作「セロ弾きのゴーシュ」で使われました。このアニメ映画は、私も大好きな作品です。編成もやや小さく、金管がだいぶ減っています。クラリネットとオーボエが、なんとものどかで素敵です。

休憩時間中、ファゴット・セクションは調整に余念がありません。高橋あけみさん、楽器がどこか気になるのでしょうか。クラリネットとパーカッションもステージに残り、熱心やなーと思っていたら、おやおやコントラバスも加わって調弦を始めましたよ。

第2部は、映画音楽から。いきなり20世紀フォックスのファンファーレです!これはびっくり。なかなかしゃれた構成です。第1曲、チャップリン映画メドレー。「黄金狂時代」「モダンタイムス」「ライムライト」から。どこか「麦畑」を思わせるところや、犬伏さんのヴァイオリン・ソロ、照明の色の変化など、楽しい工夫もあります。私の好きな「ライムライト」も、どこかうらぶれた音色ではなく、かなり豪華な響きと大きなスケールを持って演奏します。チェロとヴァイオリンの対話が、落ち目の老ピエロと人気上昇中の乙女を表すのでしょうか。でも最後はアメリカ映画らしく、20世紀フォックスのファンファーレで。
第2曲、ミュージカル「ウエストサイド物語」から。「マリア」「トゥナイト」「クール」「アメリカ」など、華々しく盛大に。「クール」のリズムは、生意気あんちゃん達を思わず興奮させ、挑発する力がありますね。この映画は、「日本では松竹の洋画専門のピカデリー劇場系列で1961年(昭和36年)12月23日に封切られて、1963年(昭和38年)5月17日まで509日にわたりロングラン上映された。」とWikipediaでは紹介しています。ちなみに、ご本人いわく、この千秋楽の日は飯森さんが生まれた日なのだそうです(^o^)/
第3曲、「エデンの東」。レナード・ローゼンマン作曲の音楽が素晴らしいです。この人はもともとクラシックの人で、アクターズ・スクールで音楽を指導していたのを、主演に抜擢されたジェームス・ディーンがエリア・カザン監督に推薦紹介したのがきっかけだったとか。さすがに荒井幸博さんは要点を簡潔に説明してくれますので、音楽も大いに楽しめます。
第4曲、「天空の城ラピュタ」より「君を乗せて」。この音楽の中の、チェロの音はいいですねー。もっと長く、ずっと聴いていたいのに、短~い!
第5曲、「風と共に去りぬ」より、「タラのテーマ」。わが妻の大好きな映画です。飯森さんは高校生で初めて見たそうで、難しかったと言ってました。正直ですね~。
第6曲、「サウンド・オブ・ミュージック」より。「私のお気に入り」「もうすぐ18歳」「ドレミの歌」「エーデルワイス」「マリア」「高き山に登れ」など。私も、子供たちと一緒に何度もLDで見ました。野暮ったいジュリー・アンドリュースが、恋をしてどんどん素敵になるのがわかります。オーボエのひなびた音が「エーデルワイス」を歌うとき、トラップファミリー合唱団が音楽祭で歌い、優勝発表までの合間に逃走するあのスリルや、修道院の老院長さんが示唆する「高き山に登れ」がスイスへの逃走ルートをも示しているという、あの物語を思い出しました。

山形新聞・山形放送社から飯森さんに花束が贈られ、アンコールとして「アメリカ」の最後をもう一度せいいっぱい派手に演奏して、盛り上がって終わりました。ああ面白かった!妻も大喜び。

帰りに、妻と二人で寿司屋で夕飯を済ませ、書店兼CDショップに寄って、「ウエストサイド」等、バーンスタインの自作自演の曲目を集めた「パノラマシリーズ」のCDを購入して、家に帰りました。
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