ハヤカワ・ミステリ文庫で、レイモンド・チャンドラーの『さらば愛しき女よ』を読みました。前に読んだ『長いお別れ』が1953年の作品で、本作は1940年のものです。舞台はロサンジェルス。主人公の私立探偵フィリップ・マーロウは、セントラル街の博奕場で、192cmはあるかという、刑務所を出たばかりの大男が、ヴェルマという女を探しに来て殺人事件を起こすところに立ち会うハメになります。その店は経営者が代わっており、以前の経営者の細君がヴェルマを知っていました。大男は銀行強盗を計画しているところを密告され、8年間ずっとヴェルマ・ヴァレントという女を刑務所の窓から想いつづけてきたというわけです。
大男マロイは逃亡します。そしてフィリップ・マーロウのところへ奇妙な依頼が舞い込みます。宝石強盗から翡翠の首飾りを買い戻す際の用心棒を頼まれるのですが、約束の場所で彼は殴り倒され、依頼主は殺されてしまいます。依頼主はなぜマーロウを知ったのか、またなぜ人気のない所での取引を目論んだのか。ヴェルマ・ヴァレントを追いかける大男マロイも探偵マーロウも、厄介者だったからに違いありません。では、誰にとって?
例によって、スピード感のある物語の展開、個性的な人物描写、緊張感を失わない場面の転換、ひねりのきいた会話など、ハードボイルドな魅力があふれています。せっかくのミステリーですのであらすじは省略しますが、結末まで一気に読ませる力があります。1940年代のロサンジェルスの姿を思い描きながら、昭和末に渡米したときにハリウッドやベイ・エリア、ヨットハーバー等を訪れたことをひととき思い出しました。
大男マロイは逃亡します。そしてフィリップ・マーロウのところへ奇妙な依頼が舞い込みます。宝石強盗から翡翠の首飾りを買い戻す際の用心棒を頼まれるのですが、約束の場所で彼は殴り倒され、依頼主は殺されてしまいます。依頼主はなぜマーロウを知ったのか、またなぜ人気のない所での取引を目論んだのか。ヴェルマ・ヴァレントを追いかける大男マロイも探偵マーロウも、厄介者だったからに違いありません。では、誰にとって?
例によって、スピード感のある物語の展開、個性的な人物描写、緊張感を失わない場面の転換、ひねりのきいた会話など、ハードボイルドな魅力があふれています。せっかくのミステリーですのであらすじは省略しますが、結末まで一気に読ませる力があります。1940年代のロサンジェルスの姿を思い描きながら、昭和末に渡米したときにハリウッドやベイ・エリア、ヨットハーバー等を訪れたことをひととき思い出しました。