新潮文庫で、諸田玲子さんの『お鳥見女房』シリーズ第3作、『鷹姫さま』を読みました。前作からはほぼ1ヶ月ぶりになります。
第1話「雪夜の客」。雪の夜、白装束の女が隣家を訪ね、ほどなくさまよい出て倒れます。放ってはおけず、珠世さんは息子とともに家に連れて帰ります。隣家の主人の人間としての弱さが、なんとも不甲斐ない。
第2話が表題作「鷹姫さま」です。長男の久太郎に、上司が縁談を勧めます。時の権力者に連なる鷹匠の家の娘で、鷹姫さまと呼ばれる、今風に言えば勝気なお転婆娘なのだとか。久太郎は、娘がどうというよりも、家督を継がなければならない長男の責務を重視し、断ります。しかし、娘は誇りを傷つけられ、鷹のようにはげしく怒ります。
第3話「合歓の花」は、次女の君江さんの話。乙女心と若者の思慮は一時食い違いますが、老婆の狂気による危難に遭遇し、一気に満開の花が咲き、娘の幸福を願う両親も、ようやく安堵します。
第4話「草雲雀」。珠世の父、矢島久右衛門が、かつて隠密の任務で潜入した地で共に暮らした女の娘が訪ねて来ます。娘は久右衛門が死んだとばかり思って来たのですが、存命なことに驚き絶句します。長男の久太郎は、鷹姫さまこと恵以から、縁談を断ったことを許さないと挑まれます。久右衛門は沈みがちですし、次男の久之助は、祖父を訪ねてきた娘の心情を知り、心を動かされます。ここは、後の大きな展開が準備されている回と見ました。
第5話「嵐の置き土産」。台風なのでしょうか、大きな嵐で浸水した家から避難してきた農夫は、勘当した息子を、和解の糸口を見出せないまま、ずっと待っていたのですね。
第6話「鷹盗人」。夫は、隠密の任務のために心ならずも同僚を切ったことなどに、気持ちの整理がつかずに苦しんでいます。今で言うPTSDでしょうか。殉職した同僚の遺児が、鷹を盗み矢を射掛けたことを知り、木から落ちて負傷したところを助けます。珠世さんと共に看病するうちに、心的外傷も次第に癒えます。
第7話「しゃぼん玉」。武器を持たねば勝てないといいます。しかし、柔弱なはずの若者は、武器を持たずに負けない道を選びます。
第8話「一輪草」。次女の君江の祝言です。うるさ型の叔母の登美には、若いころの悲しいエピソードがありました。君江の婚礼の陰で、様々な思いが交錯します。
なかなか面白いです。同じ時代物といっても、並行して読んでいる『居眠り磐音シリーズ』が講談調のホラ話としたら、こちらは浪花節の人情世話物でしょうか。ずいぶん味わいは違いますが、1話ずつ読む楽しさがあります。
第1話「雪夜の客」。雪の夜、白装束の女が隣家を訪ね、ほどなくさまよい出て倒れます。放ってはおけず、珠世さんは息子とともに家に連れて帰ります。隣家の主人の人間としての弱さが、なんとも不甲斐ない。
第2話が表題作「鷹姫さま」です。長男の久太郎に、上司が縁談を勧めます。時の権力者に連なる鷹匠の家の娘で、鷹姫さまと呼ばれる、今風に言えば勝気なお転婆娘なのだとか。久太郎は、娘がどうというよりも、家督を継がなければならない長男の責務を重視し、断ります。しかし、娘は誇りを傷つけられ、鷹のようにはげしく怒ります。
第3話「合歓の花」は、次女の君江さんの話。乙女心と若者の思慮は一時食い違いますが、老婆の狂気による危難に遭遇し、一気に満開の花が咲き、娘の幸福を願う両親も、ようやく安堵します。
第4話「草雲雀」。珠世の父、矢島久右衛門が、かつて隠密の任務で潜入した地で共に暮らした女の娘が訪ねて来ます。娘は久右衛門が死んだとばかり思って来たのですが、存命なことに驚き絶句します。長男の久太郎は、鷹姫さまこと恵以から、縁談を断ったことを許さないと挑まれます。久右衛門は沈みがちですし、次男の久之助は、祖父を訪ねてきた娘の心情を知り、心を動かされます。ここは、後の大きな展開が準備されている回と見ました。
第5話「嵐の置き土産」。台風なのでしょうか、大きな嵐で浸水した家から避難してきた農夫は、勘当した息子を、和解の糸口を見出せないまま、ずっと待っていたのですね。
第6話「鷹盗人」。夫は、隠密の任務のために心ならずも同僚を切ったことなどに、気持ちの整理がつかずに苦しんでいます。今で言うPTSDでしょうか。殉職した同僚の遺児が、鷹を盗み矢を射掛けたことを知り、木から落ちて負傷したところを助けます。珠世さんと共に看病するうちに、心的外傷も次第に癒えます。
第7話「しゃぼん玉」。武器を持たねば勝てないといいます。しかし、柔弱なはずの若者は、武器を持たずに負けない道を選びます。
第8話「一輪草」。次女の君江の祝言です。うるさ型の叔母の登美には、若いころの悲しいエピソードがありました。君江の婚礼の陰で、様々な思いが交錯します。
なかなか面白いです。同じ時代物といっても、並行して読んでいる『居眠り磐音シリーズ』が講談調のホラ話としたら、こちらは浪花節の人情世話物でしょうか。ずいぶん味わいは違いますが、1話ずつ読む楽しさがあります。