志情(しなさき)の海へ

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照喜名 進独演会は感極まりましたね!舞台美術に品位があり、低音の魅力が会場を魅了し、あしび歌三線は盛り上がりました!

2023-12-03 19:53:14 | 琉球・沖縄芸能:組踊・沖縄芝居、他
照喜名朝一先生の愛弟子としていつもご一緒に舞台で演唱されている御姿は拝見していましたが、独演会が二度目とは信じられないほどの満を持した二時間半があっという間に過ぎました。
 浪々として声が響き国立劇場おきなわの大劇場は、静まり返り、進先生の味わい深い声音が響きました。
 一番前の席で拝聴していました。マイクがない中で独唱の二揚仲風節は箏の糸数成美さん、笛の澤井毎里子さん、胡弓の森田夏子さんも落ち着いた演奏で、扮装も皆さん気品がありました。続く神谷和枝さんの箏を伴う独唱の仲村梁節、赤田節、そしてご自分のソロの今風節、と演唱される台座や衝立のデザインの美術に変化を見せ、耳目を楽しませました。お一人で演唱されるのです。声音はどちらかと言うと朝一先生の高い声音とはやや異なる低音の魅力です。浪々として響く声音に驚きました。
 舞踊「本花風」は箏、安慶名久美子さん、笛、宇保朝輝さん、胡弓 川平賀道さんと共に踊り手の玉城節子先生をしっかり地謡として盛り立てていました。休憩15分後の独唱「茶屋節」は神谷、澤井、森田が脇で伴奏し、雅で荘重な独唱でした。「拝でのかれらぬ 首里天加那志 遊でのかれらぬ 御茶屋御殿」
 続く諸屯節は玉城秀子先生が、しっとりと品よく踊りました。当初一番前の席で舞台を堪能していたのですが、舞踊の先生方の足元がよく見えない席だったので、休憩後は幸い8列目に空いている席があり、そこで舞踊を拝見しました。諸屯は古典女踊ですが、歌詞はそれぞれユカッチュ(士族)の思いです。なぜか思いを身体表出する舞踊家と演唱する地謡の男性の思いが一つになる、両性具有性が、この恋の節に秘められているのではないかと思った次第です。
 さて諸屯の次は創作舞踊です。作詞作曲「照喜名朝一、作舞玉城千枝、構成幸喜良秀の舞踊「初ムーチー」を観るのが今回の独演会の最大の楽しみでした。なんと地謡は7人です。太鼓がはじめて登場しました。進先生は衣替えをしました。明るい雰囲気で統一されたような地謡の衣装は色合いも統一された落ち着いた色で良かったです。
 「初ムーチー」は最高の出来映えでした。地謡のみなさんも楽し気に演唱していました。真ん中に座している進先生も意気揚々に歌い、女性の澄んだ演唱が安田渕愛子さん、声音がいいですね。
 千枝先生は、歌詞を舞台狭しと表象していきます。月桃の香りが会場まで伝わってくるような写実的でかつ舞踊のリズムに惹きつけられました。
 歌詞と音曲の曲想にあったムーチー節は軽やかに明るく、何度拝見しても飽きることのない創作舞踊です。千枝先生の所作は細かく、ムーチーを実際作る所作を含め、舞踊と演劇が融合しているような完璧さでした。表情の柔らかさ、気品、庶民の生活感あふれる踊りは、沖縄文化の琴線に触れる美を表出していましたね。舞踊の中に総合芸術の美を創造することができるのだと、その物語に感銘を受けました。創作舞踊の斬新さです。
 フィナーレは地元知名のヌーバレーのもうあしび歌曲を早引きで披露しました。知念幸代さんの歌とヤハシは、澄んだ高音、民謡歌手顔負けの演唱で進先生と対になって聞きごたえが最高でした。
 最後に観客も一緒に盛り上がった独演会でした。気品があり、歌唱は浪々と会場に響き渡り、踊りも家元の先生方の風格がありました。

 







 
 


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