(1)最近の裁判報道を見ていると、証拠不十分で足りないとして無罪(innocence by insufficient proof)という記事が目につく。これまでは起訴された事件ではあまりお目にかからなかった傾向の司法判断だ。
乗用車を盗んだとして窃盗罪で逮捕された容疑者が犯行現場から別の場所で車を盗む装置を持っていたとして逮捕され起訴されたが、「目撃情報などの証拠が不十分で犯人が(現場に向かったとされる)使用した車に確実に被告が乗っていたとは言えない」と「証拠が足りずに犯行現場にいたとは言えない」(判決報道)として無罪とした事例もある。
(2)これまでの古い捜査では容疑者を尋問して「自白」に導き自白証拠というのも有力な証拠としてきたものだが、検察の取り調べで自白を誘導、強制されてのえん罪事件が問題となって、取り調べの可視化が進められておいそれと容疑者を自白に誘導、強制する捜査手法が取れなくなった。
物的証拠第一主義は捜査の鉄則ではあるが、これまでの捜査では自白尊重主義が幅を利かせて捜査の誤りも誘発していたことを考えれば、証拠不十分で足りなくて無罪判決というのは捜査、司法判断の実態を正常に反映した結果ということもできる。
(3)司法改革として検察取り調べの可視化とともに、捜査の物的証拠第一主義が尊重されなければならないのはいうまでもない。警察、検察の捜査能力の向上、迅速な初期対応、科学捜査の先端化で証拠固めを徹底することが求められている。
そういう意味、捜査事情の遅れを背景とした冒頭の証拠不十分で足りないことを理由とした無罪判決ということになる。
(4)犯罪撲滅には犯人逮捕による抑止力が大きな要素、要因となるものだけに、物的証拠収集、固めで犯人逮捕、犯罪解決に努めること、結びつけることが大事だ。
そういう捜査の精度向上を促す裁判所の証拠不十分で足りないことによる無罪判決ということになる。
検察改革でスピード感は遅いが進められてきた取り調べの可視化の効果が、誤った容疑者、犯罪者をつくらないえん罪を防ぐ司法判断としての方向性が見えてきている。
(5)疑わしきは罰せずが司法の理念でもあるが、一方で近年になって裁判所の判断で「推定有罪」という判例も出された。状況証拠を積み重ねて有罪との判断に結びつける推定判決だが、もちろん自白の人間がつくり出す意識、心証概念とは違う「状況証拠」をいくつも積み重ねて動かし難い事実にたどり着けるものだが、これとて裁判官、裁判員の心証判断ということにもなりほめられた判例でもない。
(6)これが進めが自白尊重主義と同じようにえん罪を生む土壌ともなる。今日的社会はカメラ監視社会となって犯人逮捕の有力な手段、ツールとなって犯罪率は減少傾向にある。
一方でほとんどの普通の一般生活を送る人々にとってはプライバシー侵害、居心地の悪さの残る社会でもあり、それでも安全、安心が優先されるという社会的コンセンサスはあり、どちらかにバイアス(bias)がかからない情報管理対策が必要だ。
乗用車を盗んだとして窃盗罪で逮捕された容疑者が犯行現場から別の場所で車を盗む装置を持っていたとして逮捕され起訴されたが、「目撃情報などの証拠が不十分で犯人が(現場に向かったとされる)使用した車に確実に被告が乗っていたとは言えない」と「証拠が足りずに犯行現場にいたとは言えない」(判決報道)として無罪とした事例もある。
(2)これまでの古い捜査では容疑者を尋問して「自白」に導き自白証拠というのも有力な証拠としてきたものだが、検察の取り調べで自白を誘導、強制されてのえん罪事件が問題となって、取り調べの可視化が進められておいそれと容疑者を自白に誘導、強制する捜査手法が取れなくなった。
物的証拠第一主義は捜査の鉄則ではあるが、これまでの捜査では自白尊重主義が幅を利かせて捜査の誤りも誘発していたことを考えれば、証拠不十分で足りなくて無罪判決というのは捜査、司法判断の実態を正常に反映した結果ということもできる。
(3)司法改革として検察取り調べの可視化とともに、捜査の物的証拠第一主義が尊重されなければならないのはいうまでもない。警察、検察の捜査能力の向上、迅速な初期対応、科学捜査の先端化で証拠固めを徹底することが求められている。
そういう意味、捜査事情の遅れを背景とした冒頭の証拠不十分で足りないことを理由とした無罪判決ということになる。
(4)犯罪撲滅には犯人逮捕による抑止力が大きな要素、要因となるものだけに、物的証拠収集、固めで犯人逮捕、犯罪解決に努めること、結びつけることが大事だ。
そういう捜査の精度向上を促す裁判所の証拠不十分で足りないことによる無罪判決ということになる。
検察改革でスピード感は遅いが進められてきた取り調べの可視化の効果が、誤った容疑者、犯罪者をつくらないえん罪を防ぐ司法判断としての方向性が見えてきている。
(5)疑わしきは罰せずが司法の理念でもあるが、一方で近年になって裁判所の判断で「推定有罪」という判例も出された。状況証拠を積み重ねて有罪との判断に結びつける推定判決だが、もちろん自白の人間がつくり出す意識、心証概念とは違う「状況証拠」をいくつも積み重ねて動かし難い事実にたどり着けるものだが、これとて裁判官、裁判員の心証判断ということにもなりほめられた判例でもない。
(6)これが進めが自白尊重主義と同じようにえん罪を生む土壌ともなる。今日的社会はカメラ監視社会となって犯人逮捕の有力な手段、ツールとなって犯罪率は減少傾向にある。
一方でほとんどの普通の一般生活を送る人々にとってはプライバシー侵害、居心地の悪さの残る社会でもあり、それでも安全、安心が優先されるという社会的コンセンサスはあり、どちらかにバイアス(bias)がかからない情報管理対策が必要だ。