(1)今年の社会現象(話題というには区別すべき)として、オウムサリン事件の死刑囚13人の死刑執行がある。それも含めて今年は死刑執行が15人となり、近年では08年と並んで最多(報道)となった。
といっても上記のように同一事件、オウムサリン事件の特殊事件の死刑執行を含めてのもので一概に政府が死刑執行推進に傾いたとばかりは言えない。
しかし世界のすう勢は死刑制度廃止であり、日本は数少ない死刑制度存続国であり、海外からの批判も強い。
(2)日本ではここ10年では犯罪は減少傾向にあり、一方で再犯率は上昇(報道)している。犯罪を犯して収監されて刑期を終えて社会復帰しても、再び犯罪に手を染める比率が高い。
刑期中に更生を果せずにまたは社会復帰してから社会生活に溶け込めずに、なじめずに再び犯罪を重ねる比率の高い国、社会というのは、刑期中(収監)の更生指導に問題があるのか、刑期終了者を受け入れない社会に問題があるのか、そのどちらにも問題があるか再犯率の高さは国民の安全生活にとっては自らの解消すべき問題でもあり懸念される問題だ。
(3)山下法相は海外からの批判の強い日本の死刑制度について「国民感情、犯罪情勢、刑事政策のあり方を踏まえ、独自に決定すべき問題」(報道)と主権性、主体性を強調している。
日本の刑法は報復主義をとらないので、死刑制度は「報復」としての極刑ではなく犯罪性の悪質性、特殊性に見合った対価としての犯罪責任性である。
死刑制度は悪質犯罪抑止力(suppress power of a crime)効果があるともいわれるが、近年犯罪が減少傾向にあるのは市中の防犯カメラ設置の増進で検挙率、検挙時間が高まっていることや科学捜査の進展などがあげられて、死刑制度の犯罪抑止力効果はどれほどのものなのかよくわからない。
(4)死刑確定者がその後の再審で無罪になるえん罪事件もいくつもあり、死刑制度の問題、廃止の根拠とも考えられて論議はある。日本の刑法は報復主義をとらないと書いたが、犯罪者の更生、責任、社会復帰は刑法の求められる高い理念であり、犯罪のない社会づくりのために刑法適用だけが課題ではない。
一方で加害者への配慮が進む中で、犯罪被害者への思い、願い、配慮が十分でない側面もある。
(5)裁判は公正、公平、平等の観点から判例が重視されて、必ずしも犯罪被害者の実情、家族の思いに応えるものとはならずに、死刑判断も被害1人では適用されずに動機よりは被害人数の過多で判断される判例があり、残酷性、悪質性の過多はあるが犯罪被害者、遺族にとっては無念さ、失望、失意に応えるものでないこともある。
(6)犯罪処罰の理念は「人を憎まず、罪を憎む」というのがあるが、再犯率が高まっている日本の場合には犯罪者の更生指導、受け入れ社会の対応、対策が十分でない問題がある。
警察権力が社会に威圧を与える国家体制のへい害は戦前時代に経験しており、あってはならないことだが、報復主義をとらない日本の刑法社会としては死刑制度について見直し議論は必要だ。
といっても上記のように同一事件、オウムサリン事件の特殊事件の死刑執行を含めてのもので一概に政府が死刑執行推進に傾いたとばかりは言えない。
しかし世界のすう勢は死刑制度廃止であり、日本は数少ない死刑制度存続国であり、海外からの批判も強い。
(2)日本ではここ10年では犯罪は減少傾向にあり、一方で再犯率は上昇(報道)している。犯罪を犯して収監されて刑期を終えて社会復帰しても、再び犯罪に手を染める比率が高い。
刑期中に更生を果せずにまたは社会復帰してから社会生活に溶け込めずに、なじめずに再び犯罪を重ねる比率の高い国、社会というのは、刑期中(収監)の更生指導に問題があるのか、刑期終了者を受け入れない社会に問題があるのか、そのどちらにも問題があるか再犯率の高さは国民の安全生活にとっては自らの解消すべき問題でもあり懸念される問題だ。
(3)山下法相は海外からの批判の強い日本の死刑制度について「国民感情、犯罪情勢、刑事政策のあり方を踏まえ、独自に決定すべき問題」(報道)と主権性、主体性を強調している。
日本の刑法は報復主義をとらないので、死刑制度は「報復」としての極刑ではなく犯罪性の悪質性、特殊性に見合った対価としての犯罪責任性である。
死刑制度は悪質犯罪抑止力(suppress power of a crime)効果があるともいわれるが、近年犯罪が減少傾向にあるのは市中の防犯カメラ設置の増進で検挙率、検挙時間が高まっていることや科学捜査の進展などがあげられて、死刑制度の犯罪抑止力効果はどれほどのものなのかよくわからない。
(4)死刑確定者がその後の再審で無罪になるえん罪事件もいくつもあり、死刑制度の問題、廃止の根拠とも考えられて論議はある。日本の刑法は報復主義をとらないと書いたが、犯罪者の更生、責任、社会復帰は刑法の求められる高い理念であり、犯罪のない社会づくりのために刑法適用だけが課題ではない。
一方で加害者への配慮が進む中で、犯罪被害者への思い、願い、配慮が十分でない側面もある。
(5)裁判は公正、公平、平等の観点から判例が重視されて、必ずしも犯罪被害者の実情、家族の思いに応えるものとはならずに、死刑判断も被害1人では適用されずに動機よりは被害人数の過多で判断される判例があり、残酷性、悪質性の過多はあるが犯罪被害者、遺族にとっては無念さ、失望、失意に応えるものでないこともある。
(6)犯罪処罰の理念は「人を憎まず、罪を憎む」というのがあるが、再犯率が高まっている日本の場合には犯罪者の更生指導、受け入れ社会の対応、対策が十分でない問題がある。
警察権力が社会に威圧を与える国家体制のへい害は戦前時代に経験しており、あってはならないことだが、報復主義をとらない日本の刑法社会としては死刑制度について見直し議論は必要だ。