(1)国家関係は友好、有益的にウイン、ウイン(win , win)の関係を目指すというが、なかなかそういう関係は見つけにくいし構築できない。今回の米国とウクライナの関係は、ウクライナが米国の支援(軍事、停戦協議)の見返りとしてトランプ大統領が興味を示すIT産業に必要なウクライナ大量埋蔵のレアアース管理権を米国に譲渡するという関係がウイン、ウインの関係とみられる。
(2)しかし、ウクライナ戦争の発端は旧ソ連領のウクライナのEU、NATO加盟表明であり、露が米国とのNATO加盟増強、強化をしないと約束(露表明)したことに違反して、ウクライナがNATO加盟を表明したことに反発して露がウクライナに一方的に軍事侵攻をしたとのシナリオがあり、一方的に攻め込まれたウクライナにとっては米国が露にウクライナからの撤退を求めるのは当然の権利であり、露のウクライナ一部の占領状態の中で露との停戦協議を進めることは「ウイン」関係ではないといえる。
(3)露がウクライナを軍事侵攻したのはプーチン大統領がかってのソ連邦復活を目指して、再び大ソ連邦構想にもとづくものだとの見方もある。真相はわからないが、少なくとも米国がこれまでの軍事支援、露との停戦協議をする見返りとしてウクライナにレアアース提供を求めるというのはウクライナにとってウイン、ウインの関係ではない。
(4)今回の米、ウクライナ首脳会談では米国はウクライナに「感謝をしなさい」と強要し、ウクライナは一方的に軍事侵攻をした露側に問題があり非難されるべきは露にあると双方の認識不一致が対立口論、物別れに終わった原因だ。
ウクライナからすれば米国の支援負担に支払うべきは露側だという理解だろう。通常は自国に都合のいいことは相手国には都合の悪いというのが定説だ。
(5)トランプ大統領は日本に対して米国製造業が円安で不利な状況にあるとして、円安是正の代わりに関税引き上げを通告すると問題視(報道)した。そもそも円安ドル高はトランプ氏と友好、親密関係にあった当時の安倍首相が日銀の大胆な金融緩和策を続け、欧米との金利格差の中で円安が加速した経緯がある。
(6)確かに円安は日本の輸出産業には有利で輸入品目は高く、国民経済を大型物価高で苦しめている。日銀はマイナス金利をあらため昨年、今年と金利引き上げを実施しており、改善の動きはみられる。トランプ大統領には不満で通用しないということだ。