いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ジャーナリズムの正義。 justice of journalism

2021-06-23 20:11:07 | 日記
 (1)ジャーナリストで評論家の立花隆さん(80)が亡くなったとの報道があった。実際は4月に亡くなったということだが、まだまだガンバッテほしい年令だった。文藝春秋での「田中角栄 その金脈と人脈」でロッキード事件に迫り豊富な調査、取材、エビデンスで事件の核心に迫り、権力集中でむずかしいとされる首相(田中角栄)の犯罪を暴きジャーナリズムの正義(justice of journalism)を貫いた。

 同じ日、安倍前首相にかかわる森友国有地払下げ疑惑での公文書改ざん問題で裁判所が開示を求めた自死した財務省職員が事件の経緯を記録したとされる「赤木ファイル」を国が提出した日と重なり合った。ジャーナリズムの因縁だ。

 (2)立花隆さんの事件を追う執拗で繊細にして核心に迫るジャーナリストとしての調査、取材、エビデンスを期待して、待つかのような隣り合わせの新聞報道だった。政治も報道、ジャーナリズムも調査、取材、エビデンスの力が落ちて国会追及、審議でも報道、ジャーナリズムでも核心に迫ることがなく、真相究明、解明ができずに問題、疑惑はうやむやのまま終わるというくり返しでその象徴としての森友、加計問題であり桜を見る会問題だ。

 (3)森友国有地低価格払下げの公文書改ざん問題では、当時安倍首相の昭恵夫人のかかわりが伝えられ、佐川理財局長の国会での記憶にない答弁ではぐらかし、その佐川局長がその後論功行賞のように一時国税庁長官に転出(批判を受けて辞職)するなど意図、証拠、エビデンスがあきらかな事件問題であり、立花隆さんの調査、取材、エビデンスがなくても事件の構図、背景はあきらかで明白な疑惑事件であった。

 (4)かっての政治、社会、国民は、いい悪いがはっきりしていて、問題を起こせば選挙で反発、批判、不支持を受けて打撃、ダメージを受けたもので政治家、政党もそれなりの覚悟が必要であったが、今日的政治、社会、国民は自身の個人の立場、生活、利益に問題がなければ、安定していれば政府の政策には反対しても政権は支持するという小市民的国民意識が幅を利かせている。

 (5)立花隆さんが貫いたジャーナリズムの正義、首相の犯罪も見逃さない信念、良心、公正で公平、平等な社会思想が求められる今日的日本だ。

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小市民的国民意識とFIRE。 the petite bourgeoisie and FIRE

2021-06-22 20:05:02 | 日記
 (1)自分の生活さえよければいい、安定していればいいという小市民的国民意識(the petite bourgeoisie)がいいのかどうかは、政府の重要政策には反対だけれどもその政権は支持するという矛盾した選択を可能にして、やはり国家、国民としては問題はある。

 憲法学では戦争のない状態を平和というが、平和なうちはいいが国家が重要政策で二分する問題が起きた時にそういう小市民的国民意識でより正しい選択ができるのか、選択の道を進めるのかといえば、混乱、無秩序を生むだろう。国家的危機を招く。

 (2)小市民的国民意識が台頭してきたのは安倍前政権になってからだ。それまでは国民階層の利益にそぐわない政権、政治、政策は総じて国民から反発、批判を受けて、選挙で苦杯をなめてきた。農業政策を重視すれば農業地域からの保守支持が高まり、一方で産業、工業、商業中心の都市部からは批判されて革新支持に動くという揺り起こし反動作用があった。

 (3)転機は09年の圧倒的な国民支持を受けて誕生した民主党政権だ。それまでの自民党長期政権の問題点を突いた公共事業の見直し、廃止、高速道路の無料化、高校授業料の無償化、事業仕分けによるムダ廃止の革新的政策であったが、財源の裏付けがなく基本的意見の違う寄せ集め党内対立のあげく3年半で自壊する。

 (4)その後誕生した安倍第2次政権は大胆な金融政策、アベノミクスで円安株高効果を生み、経済格差を招いたが大企業、富裕層中心に経済回復をみせて国民生活の比較安定を導いた。それが自分の生活さえよければいいという小市民的国民意識となって、安倍前政権の重要政策にはことごとく過半数が反対しながら安倍内閣支持率は比較安定するという矛盾した政治社会体制を招いた。

 (5)今、若者の間では若いうちに経済的自立をして資産運用、カネを貯めて(financial independence)、早期退職(retire early)をして余生を仕事ではなく自らの生きたいように生きる考え方の支持が高まっている。

 「FIRE」という考え方だ。これも小市民的国民意識の延長線上にあるもので、国家、社会とのつながり、責任、強調、協力ではなく、個人主義の生活重視でありそれをとやかくいう必要もないが、多様で広範な情報化時代の社会思想、価値観の変化のようであり、その対極としての小市民的国民意識の個人主義の間口の狭さをあらわすもので矛盾した社会思想、価値観を示す。

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政策の評価方式。 estimative mode of a policy

2021-06-21 20:46:07 | 日記
 (1)内閣不信任案は与党からも賛同者、造反者が出て可決される可能性がある時には政治的緊張感もあるが、今のように与党が衆院の3分の2以上を占める国会構成では野党がとりあえず出しましたで圧倒的な与党の反対で否決されておしまい、時にはそれを理由に首相が野党の選挙対策の足並みが揃わない中で解散総選挙に打って出る口実にもなる。

(2)既得権益維持の政治哲学からすれば与党の権力、権益、権能を捨ててまで野党提出の内閣不信任案に賛成するなどありえない話で、野党としても与党の追及材料はあるがエビデンスに欠けて逆に追いつめられた結果としての内閣不信任案であり、出す前から否決が決まっている中では政治的効果はまったくないといっていいものだ。

 (3)野党としても提出理由は十分に考えられる政治状況ではあるが、内閣支持率の低い国民ではなく国会の優劣のついた勢力構成の中で決められることであり、それこそ結果(否決)がわかりきったそんなことをやっている場合ではないだろうといわれそうだ。

 イデオロギー対立国会時代は野党も実力行使で委員会室を封鎖して審議を拒否して国会を混乱に引き込む手法もみかけたが、それも与野党勢力がひっ迫している中でのことであり、今の自民1強、総弱小野党時代では内閣不信任案も意味、効果はみえない。

 (4)まして野党第1党立憲の枝野代表が内閣不信任案の提出に躊躇(ちゅうちょ)をみせていては、与党に足元をみられて逆に解散をちらつかされて総選挙実施の圧力を受けるという情けなさだ。

 今回野党が内閣不信任案を提出する機会があるとすれば、2年ぶりの党首討論開催で野党が徹底して菅内閣、菅首相の政策能力の欠如、大臣経験者、与党議員の不正疑惑続出を突いて、そのまま内閣不信任案を提出するというところであった。

 (5)ところが党首討論後に野党が集まって協議して内閣不信任案を出しましょうでは、危機感が伝わらずに間延びして何のための内閣不信任案なのかわからなくしてしまった。こういうルーティンものではメディアの記事にもならずに国民(内閣支持率低下)に訴えかける力にもならない。

 (6)以前はメディアが国会閉会後に内閣の政策、法案の趣旨、実行性、効果を検証、分析して点数制にして評価したことがあった。否決前提の内閣不信任案よりは国民には分かりやすい評価だ。

 

 




 

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プロフェッショナルの道。 the road of professional

2021-06-19 20:04:30 | 日記
 (1)政府コロナ分科会の尾身会長、感染症などの専門家集団が東京五輪開催問題で政府、組織委に提言を提出した。当初尾身会長はこの事態での(五輪)開催はありえないとの見方を示していたが、提言にはなく、無観客での開催が感染拡大リスクが最も低く望ましいとしている。観客を入れるにしても政府方針(まん延防止基準)よりはさらに厳しい判断を求めている。

 (2)誰が考えてもわかる根拠を述べたものだが、結論は同じでもその道の専門家の分析、判断、決定プロセスは国民のそれとは異なる。尾身会長は会見で「われわれプロフェッショナルは」という言葉を用いていたが、専門家としての矜持、自負がみえてその領域では従ってほしい面目が伝わってきた。それなら当初述べていたようにこの事態での開催はあり得ないと語ってほしかった。

 (3)尾身会長の「われわれプロフェッショナルは」の言葉を聞いて、菅首相の日本学術会議の任命拒否問題が思い浮かんだ。菅首相が権限にもとづいて推薦人6名を任命しなかったもので、政治が本来自由で自主、独立の専門家、プロフェッショナルを選別したものだ。

 日本学術会議にとってはこれまでの政府方針とは異なる対応に右往左往して、自由で自主、独立のプロフェッショナルとして毅然とした態度、専門学的、学術的、理論的な反対行動がとれなかったことで、専門家組織としてのぜい弱さを露呈したものだ。

 (4)もちろん専門家、プロフェッショナルも間違いはある。東日本大震災は専門家の歴史的見分からいつかは起きる可能性について指摘はあったが、対策までにはつなげられずに結果を受けて地震学会は地震予知からの撤退を表明せざるを得なかった。

 コロナ分科会の尾身会長は緊急事態宣言中の外出、移動自粛でも若者中心に人流が増加し感染増加傾向にあることに、SDGsをテーマにとりあげる漫才コンビの若者と対話して若者が緊急事態宣言を知らない発言を聞いてコロナ対策の実効性があがらないことについて考えさせられていた。

 (5)前出例のようによく言われることだが、学問的、学術的専門学と社会、生活、現実構造学とは違うこと(経済原論、成長、デフレ、インフレ、格差の矛盾など)はあり、プロフェッショナルを強調されると現実性、社会性、生活感とのかい離がみえて実効性につながらない危険、危惧はある。

 (6)近年、政治にほんろうされるプロフェッショナル、専門家集団をみていると、立場、影響力は重要であるだけにそのひ弱さが目立つのは残念だ。

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バイデン大統領とプーチン大統領。 president Biden and president Putin

2021-06-18 20:19:20 | 日記
 (1)バイデン大統領がロシアの反体制派勢力、政治家を一掃しているプーチン大統領を「殺人者」呼ばわりして、これにプーチン大統領がバイデン大統領が高令であることを理由に認知に問題があると反撃していた米露首脳会談が実現した。

 (2)両国には新戦略兵器削減交渉、米国の主要施設へのロシア側からとみられるサイバー攻撃、クリミア半島のロシア編入問題など大きな外交、政治問題を抱えており、今回の米露首脳会談での歩み寄りがあるのか関心もあったが、バイデン大統領は対立の解消ではなく「管理」することとして「信頼ではない。利益とその検証の関係」(報道)だとして、むしろ両国関係の問題点の正しい相互認識の確認に重点を置いた米露首脳会談で、プーチン大統領も「(将来的に)幻想はないし、あるはずもない」(同)と対立を譲らない姿勢を示してみせた。

 (3)とりあえず会っただけという今回の米露首脳会談だった。バイデン大統領はまたプーチン大統領を非常に頭のいい人物と評価しており、戦略的策略、思惑に長けて警戒心もみせている。最も影響を受けたのは安倍前首相であり、プーチン大統領とは多くの会談、対話を重ねて友人関係を強調して北方4島返還問題の展望、進展に自信を示しながら、プーチン大統領の2島返還の引き分け論に期待を持ちながら4島全面返還方針を後退させながらロシアは北方4島の軍事基地化を進め、日本の経済協力を求めて平和条約締結を優先して、最後は憲法改正により領土問題は譲らない強圧的な姿勢に転換して、安倍前首相の描いた北方4島返還のシナリオは消えることになった。

 (4)最初は期待を持たせる発言で関心を集め、しかしそれにはロシアに都合のいい経済協力、平和条約締結を優先しておいて軍事基地化を進めて最後は憲法で領土問題は譲らないという強硬主張だ。プーチン大統領は何を考えているのかわからないところがあり、いろいろと期待を持たせるあいまいな話をしながらロシアの利益、権利は譲らない現実主義者であり、そういうところがバイデン大統領のプーチン大統領は頭はいいという人物評となっているのだろう。

 (5)バイデン大統領としてもすんなりとはロシアとの関係改善、対立解消には向かえないロシアのしたたかさであり、米中が軍事、貿易、経済、人権で対立、衝突関係にある中でロシアは中東紛争などで上手に立ち回り国際的影響力を確保して勢力拡大路線を進めている。

 バイデン大統領は米露首脳会談後「ロシアは中国に押しつぶされそうになっている」(報道)としてロシアにリスク回避の協調、歩み寄りを求めているが、ロシアもなかなかしたたかだ。

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