(1)新型コロナが第5類流行性に移行されて今年の夏の風物詩の祭りが復活して、大勢の見物客が押し寄せた。京都祇園祭には宵山に遊歩道となった四条通を立錐(りっすい)の余地もない28万人が埋め尽くして、報道写真は圧巻ものだった。
昼の山鉾巡行にも15万人の人出で、37.7度の猛暑の中を紋付はかま衆に先導されて山鉾が街をうねって進んだ。
(2)長らく歴史的に受け継がれてきて夏の風物詩の伝統行事の祭りだが、昔と違ってこの時期は猛暑、酷暑の夏となって今では昔ながらの衣裳で立ち居振る舞いで勇猛に立ち向かうというのも伝統祭りのダイゴ味なのだろうが、このまま次代に向けて続けていくのも大変な気候変動社会だ。
(3)夏の祭りは堅苦しいいわれは別にして、昼も長く解放感も高く、長く、何より暑いので夜になれば外に出て夕涼みをかねて古代、歴史に思いをしのばせながら時空を超えてロマンにひたるのも格別の楽しみだ。
しかし少子化社会による祭り行事の後継者不足は当然押し寄せており、それに昔と違って地球温暖化による猛暑、酷暑の中での祭り行事で伝統を持続していくのも大変な時代を迎えている。
(4)いつかは歴史的、伝統行事の維持、持続がむずかしい時代に直面するので、規模、形態について見直される時が来るかもしれない。また昔と違って夏の猛暑対策も必要になってなかなか伝統行事の継承、持続もむずかしい。
開催時期を過ごしやすい季節に変更することも考えられるが、これまで夏の風物詩として継承してきた歴史的、伝統行事の意味、意義もあり、これもむずかしい。
(5)IT、AIとのコラボも可能なのか、可能な挑戦は続くだろうが、夏の風物詩としては歴史、伝統行事の原型にこだわるのは自然なことだ。一方で見物客は海外からの訪日客を含めて関心、興味は高まりをみせており、そのギャップに見舞われることになる。
(6)日本は天皇制を含めて何千年の歴史があり、歴史的、伝統行事、祭りが継続、継承されてきた意味、意義は大きく、時に触れて古代、歴史をさかのぼる意味でも現代に引き継がれてきた祭りを再現する、できることは大きい。
(7)今や猛暑の中、何十万人もの見物客が通りを埋め尽くすところに期待と楽しみと親しみ、今ここに古代が生きている、受け継がれている喜びを満喫するのだ。
それはベートーベンやモーツアルトの音楽を現代に再現し、聞き、楽しむのと同じ文化力だ。