昨日一日強い雨が降って、今日やっと止んだ、そういう日ぃやった。
村の人たちと立ち話してた時、ふと向こうの方の山に目ぇが行った。
「わぁ、きれい~!」
言うた私に、村の人らはきょろきょろしてる。
「ほら、きれい~」
私が指さす山の方見ながら、おばさんが言う。
「なにが?」
「景色」
もういっぺん山の方指さしながら答える。
霧が立ちこめて、何もかもかすんでる。
「ふーん」
おばさんは首傾げただけやった。
ある日、町からの帰り。
車から見える川の様子がいつもと違う。
なんか、もやもやもやって、川面から立ち上ってる。
えーっ、何これ、何これ。
私が住む村の入り口の川も、
幸か不幸か、家まで誰にも出会えへんかったから、
「きれい~!」
て、指さすこともなかった。
そやから、
「なにが?」
て、不審がられることもなかったんやけど。