山の中の、廃校になった小学校を利用して、ワークショップが開かれてる。
予約制やないから、受講者がゼロゆう日ぃもフツーにある。
静かーな時間だけがゆったり流れて、それはそれでよき一日となる。
この夏休みは、飴細工のショップも予定されてる。
持って来はった見本見てて、ふと昔の夜店のこと思い出した。
「まんが焼き」ゆうのがあったなあ。
おっちゃんが赤や緑の液体で鉄板の上に絵ぇ描いて、
その上からクレープ生地みたいなのを薄ーくのばす。
で、ひっくり返したら、絵ぇ描いたクレーブみたいな「まんが焼き」の出来上がり。
おばちゃんがわら半紙かなんかにのせて渡してくれたその「まんが焼き」、
家帰るまで待たれへん。
外側の生地、ちょびっとずつちぎりながら食べてって、
まんがのとこ、きれいに残して、
それから今度は、
ゆっくりゆっくり、まんが食べていく。
ほんのり甘い生地で、おいしかったなあ。
わたしらは見本の絵を指さして注文するんやけど、おっちゃんはつまり、その裏返しでサラサラサラって、絵ぇ描くんやもんなあ。
描きはるとこ、なんぼ見てても飽きへんかったなあ。
買い食い禁止の我が家で、この「まんが焼き」の出る夜店だけは、いつも父が連れて行ってくれた。
あのおっちゃんとおばちゃんの「まんが焼き」、どうなったんやろ。
廃校の時計は、ずーっとおんなじ時刻のままやねんけどなあ。