二銭銅貨

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大菩薩峠

2008-09-11 | 邦画
大菩薩峠 ☆☆
1957.07.13 東映、カラー、横長サイズ
監督:内田吐夢、脚本:猪俣勝人 、柴英三郎、原作:中里介山
出演:片岡千恵蔵、中村錦之助、月形竜之介、長谷川裕見子、丘さとみ

大菩薩峠は中里介山の超遠大な小説。めくるめくこの世の深遠なる地獄極楽のみだら曼荼羅な様子を描くシュールでニヒルな終りなき謎の物語。前半は普通のチャンバラ物語的な要素も大きいので映画化し易いのだろう。それでも、冒頭の大菩薩峠での巡礼辻斬りの場面は陰惨で、この小説のニヒルでシュールな側面を良く顕す場面だと思う。

神奈川県厚木市に七沢森林公園というのがあり、この公園内に順礼峠というのがある。碑が立っていて、その昔巡礼中の娘と老人が何者かに殺されて、それを哀れんだ村人がお地蔵さんを建てたとの言い伝えがあるそうだ。この話は大菩薩峠の冒頭の逸話に似ている。七沢森林公園の順礼峠付近は猿が出没するけれど、大菩薩峠にも猿が出てくる(この映画では出て来ないが)。地蔵というのも小説の中に出てくる。そこは大菩薩峠と何か関係のありそうな場所。

映画の冒頭は「大菩薩峠」と太く大書された1本の道標。

深く広く、深遠に輝く大空。
緑深き静かな山々、
くっきりとした富士、
清らかな雲、
流れるずずやかな風、
明るい陽光。

素朴な巡礼は爺さんと娘。
純朴で健気な気持ち。

謎の着流し、
黒い衣装、
編み笠の片岡千恵蔵。
机龍之介だ。

その惨劇の場面を目撃する旅の男が月形竜之介。
奉納試合を前に机龍之介に会いに来る試合相手の妻が長谷川裕見子。
鋭くシャープで切れ味の良い表情、姿。
試合相手の弟、中村錦之助は若い。
役も若いし本人も若い。

物語は普通に進行するが、大河な話を圧縮しているのでダイジェスト的になっているのは仕方が無く、内容が初めての人には分かりにくいかも知れない。

08.08.02 シネマヴェーラ
コメント
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