二銭銅貨

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09国立劇場5月/ひらかな盛衰記/文楽

2009-06-02 | 歌舞伎・文楽
09国立劇場5月/ひらかな盛衰記/文楽

(第2部)
ひらかな盛衰記
梶原館の段(かじわらやかた)
先陣問答の段
源太勘当の段(げんだかんどう)
辻法印の段
神崎揚屋の段(かんざきあげや)
奥座敷の段

文司が遣う平次の大馬鹿な性格がおかしい。不良ぶって、強ぶって、ふてぶてしいけれど、実際の喧嘩はめっぽう弱い。大きくておおぶりな感じがくだらぬ悪党ぶりを良く表す。

梶原館の段の腰元千鳥は勘十郎で、背の高い印象のすらっとした気性の強い美人。平次にちょっかいを出されても毅然とした形。神崎揚屋の段ではこれが傾城梅ヶ枝に変わる。こちらは大きく悠然とした構えに、ゆっくりとした表情。その中に源太に惚れてしまって、どうにもこうにもならない気持ちが現れる。その後半の、髪を振りほどき狂乱の態の梅ヶ枝は情熱的で力強く舞台一杯に動きまわる。源太に対する居ても立っても居られない情の深さと恋の強さ。赤い衣装が刺激的だ。

3つの違った印象の女形を勘十郎が遣う。

若男の源太を和男が遣う。こちらは真面目でおとなしく柔らかい。とても豪傑には見えない。ただ、梶原館の段での一閃、軍内を斬るところは鋭く美しい。実はこの人は、めっぽう強い。

腰元お筆は梅ヶ枝の姉さんで清十郎が遣う。端正で容赦のない潔癖さ、正義感の持ち主。この姉妹は強い。どうあっても強い性格で頼りになる感じ。男どもがどうにも頼りない。

辻法印の段では1人遣いの農民の人形が4人出てくるが、結構、仲間内での掛け合いなど、動きが多い。出遣いでは無かったので良くは分からないが、多分、有力な人形遣いがやっていたのではないかと思う。偽弁慶をかばう立場でいろいろしゃべる農民を遣う人形遣いの動きやその人形の動きは勘十郎風であった。とにかく4人の人形の動きは闊達でこの場を締めていた。

神崎揚屋の段の大夫は嶋大夫で、梅ヶ枝の強烈な意思と情熱を場内めいっぱいに力強く語った。重々しい感じの語りであったけれども、強さが若々しくて、梅ヶ枝の若くて強靭な感じが良く出ていた。

09.05.17 国立劇場
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