ドン・ジョバンニ/新国立劇場11-12
作曲:モーツァルト、演出:グリシャ・アサガロフ
指揮:エンリケ・マッツォーラ、演奏:東京フィル
出演:ドン・ジョヴァンニ:マリウシュ・クヴィエチェン
レポレッロ:平野和
エルヴィーラ:ニコル・キャベル
ドンナ・アンナ:アガ・ミコライ
オッターヴィオ:ダニール・シュトーダ
騎士長:妻屋秀和
ツェルリーナ:九嶋香奈枝
マゼット:久保和範
クリアで透明な、美しく劇場に満たされるソプラノの声はアガ・ミコライ。低い音も高い音も安定していて歪が無い。気持ちの良い声で気持ちの良いドンナ・アンナ。最後の方の情緒のこもったNo.23、「おっしゃらないで,私のあこがれの方よ」"Non mi dir, bell'idol mio"がとても良くて、沢山のヴラーヴァをもらっていた。
ニコル・キャベルは抑揚のある強い歌手で感情のこもったエルヴィーラ。特にレポレッロの変装がバレた後のNo.21b、「あの恩知らずは約束を破って」"Mi tradi quell'alma ingrata"に気迫が感じられた。
九嶋は強い調子のツェルリーナ。優しい曲調の重唱「お手をどうぞ」がクヴィエチェンの強力な歌声と相まって、かなり強力なものになっていた。この九嶋のちょっときつめの歌と芝居をみているとコンスタンツェの肖像画が思い起こされて、モーツァルトとツェルリーナの関係がマゼットとコンスタンツェの関係に対照しているのではないかと思われた。
Masetto - Mozart (子音母音の並びが似ている)
Constanze - Zerlina (ze が同じ)
かなり無理矢理だけれども名前の対応関係もある。モーツァルトとコンスタンツェってあんな風だったのだろうかと想像すると面白い。一般的に知られている伝説以上の、本当のコンスタンツェがどのような方だったかは知らないけれど、絵で見る限りボーイッシュな感じの、活発で強そうな女性に見える。ツェルリーナをそんな気の強い活発な女性だと思って見てみると、九嶋のツェルリーナがコンスタンツェに見えてくる。
クヴィエチェンは芝居も歌もタイトに締まってbravissimoだった。「お手をどうぞ」"La ci darem la mano"は優しく強く、それにちょっと悪党の香りがほのかにただよい、シャンペンの歌では鋼のような鈍いしぶとい強さを感じた。No.16の短いカンツォネッタ「窓に姿を見せておくれ」"Deh,vieni alla finestra"も気合を入れて歌って、大拍手をもらっていた。平野のレポレッロは真面目で硬質な感じで声に迫力があった。
ベネチアを背景とする美術は舞台の奥の方まで使った立体的で大きな空間を感じる舞台。演出は音楽とのアンサンブルを重視した、あまり出過ぎないオーソドックスなもの。演奏は小編成ながらメリハリがあって迫力も十分で、良く歌手にあわせた演奏だった。多分本物の木管とコントラバスの演奏者が数人、舞踏会の場面と最後の晩餐の場面で登場人物の一部として舞台で演奏した。楽しい。
12.04.22 新国立劇場
作曲:モーツァルト、演出:グリシャ・アサガロフ
指揮:エンリケ・マッツォーラ、演奏:東京フィル
出演:ドン・ジョヴァンニ:マリウシュ・クヴィエチェン
レポレッロ:平野和
エルヴィーラ:ニコル・キャベル
ドンナ・アンナ:アガ・ミコライ
オッターヴィオ:ダニール・シュトーダ
騎士長:妻屋秀和
ツェルリーナ:九嶋香奈枝
マゼット:久保和範
クリアで透明な、美しく劇場に満たされるソプラノの声はアガ・ミコライ。低い音も高い音も安定していて歪が無い。気持ちの良い声で気持ちの良いドンナ・アンナ。最後の方の情緒のこもったNo.23、「おっしゃらないで,私のあこがれの方よ」"Non mi dir, bell'idol mio"がとても良くて、沢山のヴラーヴァをもらっていた。
ニコル・キャベルは抑揚のある強い歌手で感情のこもったエルヴィーラ。特にレポレッロの変装がバレた後のNo.21b、「あの恩知らずは約束を破って」"Mi tradi quell'alma ingrata"に気迫が感じられた。
九嶋は強い調子のツェルリーナ。優しい曲調の重唱「お手をどうぞ」がクヴィエチェンの強力な歌声と相まって、かなり強力なものになっていた。この九嶋のちょっときつめの歌と芝居をみているとコンスタンツェの肖像画が思い起こされて、モーツァルトとツェルリーナの関係がマゼットとコンスタンツェの関係に対照しているのではないかと思われた。
Masetto - Mozart (子音母音の並びが似ている)
Constanze - Zerlina (ze が同じ)
かなり無理矢理だけれども名前の対応関係もある。モーツァルトとコンスタンツェってあんな風だったのだろうかと想像すると面白い。一般的に知られている伝説以上の、本当のコンスタンツェがどのような方だったかは知らないけれど、絵で見る限りボーイッシュな感じの、活発で強そうな女性に見える。ツェルリーナをそんな気の強い活発な女性だと思って見てみると、九嶋のツェルリーナがコンスタンツェに見えてくる。
クヴィエチェンは芝居も歌もタイトに締まってbravissimoだった。「お手をどうぞ」"La ci darem la mano"は優しく強く、それにちょっと悪党の香りがほのかにただよい、シャンペンの歌では鋼のような鈍いしぶとい強さを感じた。No.16の短いカンツォネッタ「窓に姿を見せておくれ」"Deh,vieni alla finestra"も気合を入れて歌って、大拍手をもらっていた。平野のレポレッロは真面目で硬質な感じで声に迫力があった。
ベネチアを背景とする美術は舞台の奥の方まで使った立体的で大きな空間を感じる舞台。演出は音楽とのアンサンブルを重視した、あまり出過ぎないオーソドックスなもの。演奏は小編成ながらメリハリがあって迫力も十分で、良く歌手にあわせた演奏だった。多分本物の木管とコントラバスの演奏者が数人、舞踏会の場面と最後の晩餐の場面で登場人物の一部として舞台で演奏した。楽しい。
12.04.22 新国立劇場