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2つのロメオとジュリエット/新国立劇場オペラ研修所試演会2018

2018-07-21 | オペラ
2つのロメオとジュリエット/新国立劇場オペラ研修所試演会2018

グノー、「ロメオとジュリエット」抜粋
ベッリーニ、「カプレーティ家とモンテッキ家」抜粋

指揮:河原忠之、演出:粟國淳
ピアノ:石野真穂、岩渕慶子、髙田絢子、原田園美

ロメオとジュリエット:
ロメオ:増田貴寛、ジュリエット:斉藤真歩
ティバルト:水野優、ローランス神父:伊良波良真
メルキューシオ:野町知弘、ステファノ:竹村真実
ジェルトリュード:藤井麻美、パリス:仲田尋一
グレゴーリオ:井上大聞

カプレーティ家とモンテッキ家:
ロメーオ:一條翠葉、ジュリエッタ:和田悠花
テバルド:水野優、ロレンツォ:伊良波良真
カペッリオ:仲田尋一

かなり濃く暗めの色調の迷彩っぽい模様の板塀と、同じ模様の四角い門柱2個からなるセットで質素。最近見たオペラでは、このような塀や壁が良く登場するような気がする。分断、格差、対立、ポピュリズムが吹き荒れる国際情勢を反映しているのかもしれない。ロミオとジュリエッタの話もまさに分断、対立、抗争、ポピュリズムの悲劇にほかならない。

2つのオペラのラストはほとんど同じように構成されていた。2人は死の前に合うことができて、ジュリエッタが後を追う。今回の抜粋版では両方ともここで終わった。なお、カプレーティとモンテッキの抜粋でないバージョンでは最後に両家の和解の場面がある。グノーの方は死ぬ所で終わりだったように思う。シェイクスピアの戯曲では別々に死んで最期は会えなかったと思う。最期のセリフが「O, happy dagger, This is thy sheath. There rust, and let me die」。sheathは鞘。There rustは錆びた短剣。このセリフはオペラにはしにくそう。舞台劇とオペラの違いが感じられる名セリフ。シェークスピアでは、その後が両家の後悔と反省になっていて、ゼフィレッリの映画版ではそこが葬列の場面になっていた。バレエではジュリエッタは美しく死んでいく。

イタリア語ではジュリエッタ、英語ではジュリエット、仏語はジュリッテらしい。ロミオも各国でイントネーションが違うようだ。

登場人物が多く歌手全員の特徴は覚えていない。藤井麻美は低い声が安定しているメゾ。一條翠葉も低い声が安定していてタイトで迫力がある。和田悠花は真面目で一途な感じのソプラノで声がピュアで美しい。声量もあった。斉藤真歩は強いソプラノ。増田貴寛は声量があるテノール。全員声量があって、小劇場では響きすぎるぐらいに感じた。

ピアノはそれぞれのオペラに2人づつ。前半は迫力のある演奏。後半は美しく高速に展開していく演奏で、それぞれに曲の持ち味が違った。


18.07.01 新国立劇場、小劇場
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