二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

成瀬巳喜男 記憶の現場

2006-03-27 | その他映画
成瀬巳喜男 記憶の現場 ( 評価なし)


2005 アルボス、カラー、ビデオ
監督:石田朝也
インタビュー:司葉子、小林桂樹、草笛光子、淡島千景、石井輝男

成瀬監督の仕事に関する記録映画

成瀬映画の出演者、スタッフたちの思い出、色々なエピソードをインタビューを中心に構成した記録映画。

照明の石井長四郎さんについての思い出:石井さんは静かな人では無かったらしいけれど、成瀬組では静かにしていたとの事。たくさんライトを立てて上手な照明だったという話。照明にも技術があったんだ。どこに、どの程度、どの位の光を当てるかという事らしい。映画の映像が、そういった何種類もの光で構成されているのは、すごい事だ。照明を切るとかカットするとかいう専門用語が度々出てきます。光を当てるエリアを制御するってことのようです。映画って、技術のかたまりなんだと、つくづく思いました。

ライトがたくさん林立しているような所で撮影が行われます。カメラや音響関係の装置もあるので、撮影場所を変えるだけでも大変なんだと分かりました。俳優の視線だけで登場人物の動きを表現するという技が成瀬監督の特徴ですが、それによって色々の場所からの撮影が不要になるというのも、その技が使われる理由の1つなんだと思いました。

美術の中古智がすごいというのは聞いたり読んだりしていましたが、どこがすごいか良く分かっていませんでした。特にすごいというのが、ロケとセットの区別が付かないということで、その意味が映像的に理解できました。「流れる」の橋のシーンとかが出て来ますが、確かにすごすぎます。あと、部屋の中は部下にまかせて、自分は窓の外のセットを気にかけていたそうです。窓の外や屋外のセットは遠近感をちゃんと数値的に計算してミニチュアを作って表現していたそうで、そこにこだわりがあったようです。

草笛光子さんの話:放浪記の中で高峰さんにピンタをくれたシーンについて。あとで高峰さんのほっぺたが腫れてしまって氷で冷やしていて、草笛さんに「腫れちゃったわよー」と言った、というような話。成瀬監督に「思いっきりやっていいよ」と言われて、それで思いっきりやっちゃったらしいです。そのせいかどうか、放浪記のそのシーン前後は緊張度が高くピリピリしています。そもそも、この映画での草笛さんと高峰さんのピリピリ感はすごく高くて、それはこの映画の主題を表現する上で非常役立っていたと思います。この話はキネ旬2005年9月上旬号の高峰さんのインタビュー記事にもあったような気がします。
06.03.19 パルテノン多摩

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あらくれ | トップ | マヅルカ »

コメントを投稿

その他映画」カテゴリの最新記事