二銭銅貨

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しとやかな獣

2007-06-03 | 邦画
しとやかな獣  ☆☆
1962.12.26 大映、カラー、横長サイズ
監督:川島雄三、脚本:新藤兼人
出演:伊藤雄之助、山岡久乃、川畑愛光、浜田ゆう子、若尾文子
   高松英郎、小沢昭一、山茶花究、ミヤコ蝶々、船越英二

マンションの部屋を舞台に、
8人の人が出たり入ったり。
伊藤雄之助と山岡久乃が夫婦で、そこの住人ですから、
この2人が他の8人を出迎えます。

舞台劇スタイルの脚本は新藤兼人で、
滔々とセリフが続くセリフ劇。
普通の音楽は使わずに、
わずかに能の楽曲を使うのみで、
あとは、
生活音とセリフが劇全体のリズムをなしている。

マンションの部屋をあちこちから覗き込むような、
面白いアングルのショットの連続で、
単調さを避け、
平凡さを排除している。
驚きの構図のオンパレード。

出だしは小沢昭一の妙な外国人風日本人の大々的なお出まし。
その後、俳優たちの競演が始まる。
その様子は、能の狂言のイメージなのか。
ただの舞台劇なのか。
途中、能の足の運び方をイメージしたシーンがある。

この家の兄弟が能の楽曲、鼓や笛の音に合わせて、
60年代のロックンロール/ツイストを踊るところは、
この映画、この物語の狂気の部分を表現しているように思えた。

人の欲情、人の欲望、
社会の腐敗、人生の堕落。
ぐちゃぐちゃ、ハンチャメチャなゴミタメ。みじめな思い。
ぐるぐるの渦巻き。そこに何か、真実があると、
そう言っているかのような。
何も無いような。偽物のルノアールの裸婦の像。
それにしても、
どうしょうも無い人達です。
07.05.27 赤坂区民センターホール

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2 コメント

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伊藤雄之助 (gonjimi)
2007-10-18 15:38:37
「しとやかな獣」を観ました。20年位前 深夜テレビで、放送されてたのを半分寝ぼけながら観ていて、強烈に印象に残っていましたが、途中から観たし、タイトルも分からず長い事 探していましたが、やっと念願かなって手に入れました。期待を裏切らない伊藤雄之助氏の高度な演技に嬉しくなりました。凄い役者さんです。
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伊藤雄之助について (二銭銅貨)
2007-10-20 09:07:06
たしかに伊藤雄之助は印象に残る役者さんです。どの映画でも目立っていますし、おもしろいです。まだ、そんなに多く見ていないので、本当の凄さは良く分かっていませんが。この映画での役は、これまで見たものとは違って、少し伸び切った感じのだらしない雰囲気ではなく、すこし硬くて堅固な感じがしました。
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