二銭銅貨

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サボタージュ

2010-09-04 | 洋画
サボタージュ ☆☆
Sabotage
1936 イギリス、白黒、普通サイズ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:チャールズ・ベネット、イアン・ヘイ
原作:ジョセフ・コンラッド
出演:妻:シルヴィア・シドニー、夫:オスカー・ホモルカ、
   刑事:ジョン・ローダー、弟:デズモンド・テスター

時計の針、
刻々と迫る時刻、
何も知らない陽気な少年、
人々の群れ、
バス、信号、渋滞。

この場面だけでなく、様々な小道具がサスペンスを盛り上げる。サボタージュ実行犯のオスカー・ホモルカのオドオドした印象が良い芝居だと思った。ヒッチコックの演出はこの映画でも冴えている。

冒頭にサボタージュの意味が書いてある辞書の一部分が提示される。それによるとサボタージュは破壊工作である。現代のテロであろう。テロリストに悪の意識が無く、犠牲者に対する罪の意識が無い、無慈悲で残酷な現代のテロの有様が70年前の映画に記録されている。興味深いことだ。当時はこの残酷なシナリオの評判は良くなかったらしい。ヒッチコック自身が少年を犠牲にした事を失敗だったと語っていたそうだ。

字幕なしで、なおかつ事前に配られたあらすじを読まずに見てしまったので詳細が良く分からなかった。配布されたあらすじは後で読んで、見終わったあとで細かい所を了解した。

10.08.21 NFC
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セラフィーヌの庭

2010-09-03 | 洋画
セラフィーヌの庭 ☆☆
Seraphine
2008 フランス・ベルギー・ドイツ カラー、横長サイズ
監督・脚本:マルタン・プロヴォスト、
脚本:マルク・アブデルヌール、
出演:セラフィーヌ:ヨランド・モロー、
   ウーデ:ウルリッヒ・トゥクール、
   アンヌ・マリー:アンヌ・ベネント

漆黒の闇夜に緩く流れる小川のほとりで、
泥を手ですくい取り、すくい取りしている中年女性は
セラフィーヌで、
それは彼女固有の画材を作るためのものだ。

木に生まれ、木に育てられ、
野に放たれ、川に遊び、
野生に生きる女性はセラフィーヌで、
肉付きの良い手、
ほほのクローズアップにそのことが現れている。
木の声を聞き、川の流れを泳ぎ、
自然にくるまれて、自然に生まれて来て、
優しい木漏れ日の中を、ゆっくり歩いて来た彼女には、
人間界のドロドロは荷が重すぎるのだろう。
掃除と洗濯と絵描き。
妖精とは似ても似つかぬ妖精なのだろう。

彼女の絵を人間界の何人が理解しえたのであろうか。

10.08.14 岩波ホール
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