ノーブル・ノーズの花の穴

麗しき本音のつぶや記
~月に1度ブログ~

信号待ちのメタボ

2011-09-17 10:16:06 | Weblog

朝、あの人に会った。
信号待ちで。

「まさか、こんな時間に?」と思いながら、
横顔を、チラ見した。

もし、あの人だったら気まずいので、
黒い日傘に隠れるようにして、追い越した。

その人は、メタリックな青いスマートホンをいじりながら、
エメラルドグリーンのバッグを持っていた。
「あんな色のバッグ、普通の男の人なら持たない。」
ふと、そう思った。

次の信号で立ち止まって、振り返ると、
斜め後ろに、まだiphoneをいじっている、「あの人」がいた。

グレーのスラックスに入れた、半そでの白いシャツのラインは、
メタボになっていた。
襟足を刈り上げて、立たせた髪のせいか、
以前より、顔も太って見えた。

そして、グリーンのバッグは、あの人のお気に入りの、
犬マークのロゴのブランドだった。

私は、1つ1つ、あの人を確認した。

その可愛いバッグ、又、ネットで買ったんでしょ。
私はいつも、バッグの色で、あなたに気づく。
あなたの好む色は、すぐ分かる。

私は、丈の縮んだ赤いかりゆしを着て、
スカートの脚には、ストッキングも、はいていなかった。
まるで、ユーミンの「DESTINY」みたいに、恥ずかしかった。

声をかけたい衝動にかられたけれど、それは許されない。
せめて、私に気づくまで、見ていようと思った。

信号が変わる頃、あの人は、やっと顔を上げて、私を見た。
私の事など、もう記憶にないような無表情だった。
というか、表情が変わるまで、見ていられなかった。
目が合っただけで辛く、そして満足だった。

私は、足早に先を急ぎ、曲がり角で走った。
どうせ、あの人は、私に追いつかないように、
ユックリ歩いて来るだろう。

ただ、悲しかった。
やっと、会えたのに…。

メタボを笑えない

朝っぱらから、しかも歩きながら、
いったい誰に、メールしていたの?
そういえば、元カノも、同じ頃に、いつもメールしてるよね。

この間、彼女が、アマガエルみたいなTシャツを着ていたのは、
もしかして、グリーンにハマっている、あなたの影響じゃないの?
やっぱり、彼女と、一緒にいるの?

あなたはきっと、私に、いくつもウソをついてる。

それに、そんなお腹になって。
あなたらしくない。
私の好きな、あの精悍な顔や体が、
メタボるなんて、信じられん!

ラーメンばっかり食べてるからよ。
それとも、誰かのせいで、幸せ太り?

異動で、周りに女が減ったから、油断してるのね。
それでも、あなたはあなただし、
モテなくなるなら嬉しいけど、
いつまでも、「いい男」でいてほしい。

しばらく見ないうちに、お互い、どんどん年を取る。
私は、あなたを笑えない。
次は、いつ会えるんだろう。

生きがい

ドラマ「それでも、生きてゆく」の最終回で、
双葉から、「もう会えない。」と言われた時の、
洋貴の絶望が、手に取るように分かる。

人は、誰かを好きになって、
それが楽しければ、それだけで生きていける。
恋さえしていれば、
どんな辛い事も、乗り越えられる。

でも、好きな人としゃべれずに、好きでいる事さえ許されなかったら、
もう、誰ともしゃべりたくないし、周りを恨む事しか、生きがいは無い。

こんな気持ち、もう、誰にも言えない。

 

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ロングじゃなくて良かったね

2011-09-17 09:52:59 | Weblog

あの日、あの人の元カノが、仕事終わった後に、
他の人に言ってたの。

「ロングじゃなくて良かった。」

ロングって、勤務時間の事。
その日、彼女の隣にいたのは私。
あの人が好きになった女だから、好意的に話しかけてた。

彼女、話しかけられて、ウザかったんじゃない?
そうだね。だから、

「ロングじゃなくて良かった。」

聞こえてたよ。わざと?
心が凍りついた。

彼女、ああ見えて、負けず嫌いだから、
敵に対しては、イジワルなのよ。
あの人の事を好きな女なら、
たとえ相手にされてない私でも、憎かったんでしょ。

それからも、何度か、聞こえよがしに、周りと話してたよね。
すごく悔しかった。
2人はもう、別れた後だったのに。

私は、あの人を好きなだけで、あなたに何もしていないのに。
二度としゃべるまいと思った。

あれから何年かたって、
たとえ今、あなたが、他の男と付き合っていても、
私は、あの時の、あなたの言葉を忘れはしない。

この間トイレで、2人だけで会った時、
私は、あなたの近くに荷物を置くのが嫌で、
何もせずに、出て行ったでしょ。
あなたの事、見たくもないって、ちゃんと伝わったかな?

「ロングじゃなくてよかった。」

ごめんね。あの時、話しかけたりして。
私も最初から、素直に嫉妬して、あなたを憎めば良かった。

あの人は、「本質も知らない人に、好きだなんて言われる筋合いは無い。」って言ったけど、
自分だって、彼女の本質なんて、知らないんじゃない?

あの人は、彼女の持病も、自由も、理解しなかった。
私の方が、彼女に同情してたくらいよ。

でも、そんな事、2人は知らない。
気を遣ってた私がバカ。

今は、彼女と席が離れてると、ホッとする。

「近くじゃなくて良かった。」

 

 

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