令和3年7月10日 更新
熱海土石流、行政責任検証へ 盛り土届け出の手続きなど
静岡県熱海市伊豆山(いずさん)の土石流災害は、発生現場付近で崩落した盛り土の造成の経緯が注目されている。
県は今後、県と熱海市の行政責任も含めて検証する。原因究明の中心になっている難波喬司副知事は「川勝平太知事と斉藤栄・熱海市長は一切、隠すなという方針。
結果、行政の責任を問われる可能性もあるがやりたい」と語る。
検証の中立性に疑念を持たれないように第三者に意見を求めることも検討する。
盛り土の排水機能が不適切だった可能性を指摘した難波喬司副知事。県と熱海市の行政責任も検証する方針を示している
県によると、盛り土は土地を当時所有した業者が2009年、熱海市に約3万6600立方メートル、高さ15メートルの計画を届け出た。
だが、20年の計測で、約5万4000立方メートル、高さ約50メートルまで大幅に増えていた。
県は盛り土を増やす際、行政への届け出の手続きが適正だったのかを調査する。
今回の大雨で盛り土に約2万立方メートルの雨水が流入したと分析。難波副知事は「排水が適切でなく、盛り土に水がたまりすぎた」と推定する。
元国土交通省技術総括審議官の難波副知事は、名古屋大大学院で土木工学を専攻した土木技術者だ。
修士論文のテーマは「降雨時の斜面安定の不確実性」で、崩落した盛り土とも関連する。
熱海市内は7月1~3日、降水量が少ない時間帯もあった。
県は、排水機能が適切であれば、降水量の少ない時間帯に盛り土の中の水を排出できていたとみる。
盛り土はほとんど崩れ落ち、実際に十分な排水設備があったのかは不明だ。
このため、県はトラックによる土砂搬入や盛り土の様子を撮影した映像・写真の公募を開始。
05年以前は土地の改変がなかったことを確認できたため、05年以降の撮影データの提供を求めている。
盛り土の施工業者や作業員にも情報提供を呼びかけている。
データを集め、現在の土地の所有者や盛り土を届け出た当時の業者ら関係者への聞き取り調査も検討。
原因究明を進めれば今後、県と市が適切な行政指導をしていたのかも問われる。
刑事事件に発展する場合もある。
難波副知事は「警察はまだ先の話。まず行政として事実を洗い出す」と明言した。
令和3年7月8日
静岡県熱海市の大規模土石流の起点にあった盛り土に、条例で義務付けられた排水設備が設置されていなかった疑いがあることが8日、県への取材で分かった。
2006年に現場の土地を取得した神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)が、届け出た量を超える盛り土をしていたことや、盛り土に産業廃棄物をまぜていたことなどが既に判明。
人的要因が複合的に重なって土石流が生じた可能性が浮上した。
一方、県が詳細に分析した結果、土石流の量は約5・6万立方メートルだったことも新たに判明。
盛り土は約5・4万立方メートルと推計されており、土石流の大部分を占めていたことになる。
大規模土石流で被災した静岡県熱海市伊豆山の現場。
手前は東海道新幹線
7月6日 東京出張時に熱海駅を徐行運転中で通過時に車窓より、土石流の被災現場を一瞬だけ確認できました。
50分の遅れで東京に到着する。
被災された皆さんに心よりお見舞い申し上げると共に亡くなられた皆さんのご冥福をお祈り申し上げます。
静岡県熱海市伊豆山で発生した土石流の起点とみられる現場
5日(国交省TEC―FORCE撮影)
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