平成26年7月22日 時事通信社記事
政府は18日、全閣僚で構成する「水循環政策本部」(本部長・安倍晋三首相)の初会合を首相官邸で開いた。首相は、水源保全や雨水の再利用など水循環に関する基本方針や具体的な施策を盛り込んだ基本計画を、来年7月までに策定するよう指示した。同本部は、来年1~3月に基本計画の原案を作成する方針。
同本部は、水を「国民共有の貴重な財産」と位置付け、各省庁にまたがる水に関する施策を一体的に推進することを目指す水循環基本法の施行に併せ、1日に設置された。
首相は会合で「水の恵みを将来にわたって享受するためには、人の活動による水への影響に配慮して健全な水循環を確保することが極めて重要だ」と述べた。
水循環基本法成立(平成26年3月27日)
国内の水資源の保全を目的とする水循環基本法案が3月27日の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。
河川や上下水道、農業用水などの管理は国土交通省や厚生労働省など7省が行っているが、政府内に設置する「水循環政策本部」(本部長・首相)が一元的に管理、規制する体制に改める。その上で、水を「国民共有の貴重な財産」と位置付け、法律で規制されていない地下水を国や自治体の管理対象に含める。
超党派の「水制度改革議員連盟」(代表・石原伸晃環境相)が議員立法で法案を策定。
昨年の通常国会の衆院本会議で全会一致で可決したが、参院で安倍晋三首相に対する問責決議が可決されて審議が止まった影響で廃案となっていた。
水資源の乱開発を防ぐため、政府に必要な法整備を求める内容で、野放図となっていた中国などの外資による森林買収に歯止めをかける狙いもある。
外資による森林買収は地下水の開発が目的とされ、林野庁の確認では平成17年以前は5件、20ヘクタールだった森林買収は、18~24年は68件、801ヘクタールに激増した。国・地域別では18~24年の累計で280ヘクタールの中国(香港を含む)資本が圧倒的に多く、シンガポール資本の79ヘクタールと続く。買収地域は北海道が中心で、群馬、神奈川、長野などにも広がる。
■水循環基本法のポイント
・水を「国民共有の貴重な財産」と位置付ける
・政府は水循環基本計画を定め、5年ごとに見直す
・内閣に水循環政策本部(本部長=首相)を置く
・政府と自治体は森林、河川、農地、都市施設などを整備する
・政府は水循環に関する研究開発を推進し、研究者を養成する
・8月1日を水の日とし、政府と自治体はその趣旨にふさわしい事業を実施する