平成30年7月31日 時事通信
文部科学省は31日、全国の小学6年と中学3年を対象に今年4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。
文科省は今回、公表時期を例年の8月末から約1カ月前倒しした。
担当者は「調査結果を2学期からの授業で活用してほしい」としている。
8月1日の山陽新聞に掲載されるでしょうが、どんな見出しとなるか?です。
●昨年度に続き、政令市が同じ道府県内の他の自治体より正答率が高い傾向となった。
知識の応用力を問う問題の正答率は依然として低かった。
全国の国公私立計2万9623校の約205万人が、国語と算数・数学の基礎知識を問うA問題と応用力を試すB問題に解答した。
今回は3年ぶりに理科も実施した。
昨年度から公表を始めた20政令市のうち、今回、公立小中の国語、算数・数学各A・Bと理科の10種類全てで同じ道府県の他地域の平均を上回ったのは仙台、さいたま、横浜、川崎の4市。
札幌、千葉、静岡、京都、岡山、福岡の6市は一部が同じで、それ以外が平均より高かった。
一方、大阪市は全て下回った。
文科省は「大都市部の方が、学校以外での学習時間が長い傾向にあることなどが背景ではないか」としている。
都道府県別では、公立小中の各教科で秋田や石川などが上位に入る傾向は今回も同様だった。
都道府県別の公立校の標準化得点(全国の平均正答数を100として計算した得点)の推移を見ると、小学国語Aと中学数学Bを除き下位3自治体の平均が上がっており、学力の底上げが進んだ。
中学国語のB問題では、「天地無用」を誤った意味で解釈する人がいる理由について答えさせる設問の正答率が13.9%と低かった。複数の段落を、接続詞「また」でつなぐ文章の構成を正しく理解できていない生徒も多かった。
夏休み中に各学校が結果を検証し、2学期からの授業に役立てられるよう、今回から公表時期を1カ月程度前倒しした。
◎「新聞読まず」中学7割=読者は正答率アップ―学力テスト
全国学力テストの意識調査で、新聞の読む頻度を尋ねたところ、小学生で6割、中学生では7割が読んでいなかった。他方、新聞を読む頻度が高いほど、国語、算数・数学、理科の平均正答率は高い割合を示した。
「新聞を読んでいるか」との問いに、ほとんどまたは全く「読まない」と答えた割合は小学生が60.7%、中学生が70.1%で、いずれも昨年度までの調査と比べ増加傾向にある。「ほぼ毎日読む」は小学生7.5%、中学生は5.0%だった。
各教科の正答率との比較では、「ほぼ読む」がどの教科でもトップだった。「週に1~3回程度」「月に1~3回程度」「ほとんどまたは全く読まない」の順で、成績は下がっていた。
理科離れが顕著に=学校は授業工夫―学力テスト
今年度の全国学力テストで3年ぶりに実施された理科では、前回に引き続き、中学生での「理科離れ」の傾向が顕著となった。
理科は12、15年度以来3回目。
意識調査で、新たに「授業で児童生徒の好奇心や意欲が喚起されるよう工夫していたか」と小中学校側に尋ねたところ、肯定的な回答は9割を超えた。
しかし、「理科の勉強は好きか」との問いに、肯定的に答えた割合は小学生83.5%に対し、中学生は62.9%で、15年度と同様20ポイント以上の開きがあった。
「理科の授業で学習したことは、将来、社会に出たときに役に立つか」との設問でも、肯定的な回答は中学生が小学生を16.9ポイントも下回った。
学力を試す設問では、中学3年で、植物が水蒸気を出す「蒸散」という働き以外に、植物が入った容器内の湿度を上げる原因を記述する問題で、「土から水分が蒸発した」などの正答率は平均19.8%と低かった。
自然現象の要因を抽出し、条件を制御した実験を計画することができていない傾向が見られた。
一方、下位3自治体の標準化得点(全国の平均正答数を100として計算した得点)の推移では、過去2回よりも理科の平均が上がっており、学力は底上げ傾向を示した。