令和5年10月25日
「岡山、カメムシ多すぎ」「洗濯物にもカメムシ」
県内市街地、猛暑や少雨影響か
さんデジ 2023年10月20日 21時02分 更新
https://www.sanyonews.jp/article/1467099
「岡山、カメムシ多すぎ」「洗濯物にもカメムシ」。
記録的な猛暑となった夏場以降、SNS(交流サイト)にこんな書き込みが目立っている。
民家の網戸やベランダに干した洗濯物、高層マンションの壁面、ゴルフ練習場の街灯…。
そこかしこに群がっている艶のある緑色の個体はツヤアオカメムシ(体長約15ミリ)だ。
触ったり刺激したりすると強烈な悪臭を放つ害虫がことし、岡山県内の市街地で大量発生している。
県の調査でその個体数は平年の7倍以上とのデータもある。
もともと山間部や草むらに多く生息するカメムシがなぜ、市街地で増えているのか―。
テニスコートではナイター照明の下、人工芝に数十匹のカメムシが群がっていた。
「むっちゃ臭い」「服にくっついて困る」と利用者たち。
カメムシは明かりに集まる習性があり、同グラウンドでは誘蛾(ゆうが)灯をフル稼働させて対応しているが、
「駆除しても駆除しても集まってくる」と管理事務所の末田重喜さん(69)は困り顔だ。
同市中区湊のゴルフ練習場は打席のマット上などに多数のカメムシが群がるため、
施設の照明を害虫が集まりにくいLED灯に切り替えた。
ことし岡山県内の市街地で大量発生しているのは、緑色をしたツヤアオカメムシ。
針のような口で果実を吸う果樹農家の天敵であり、強烈な臭いを発する不快害虫だ。
岡山県病害虫防除所(赤磐市)が9月1~20日に行った調査では、調査用の電灯に集まった個体は平年の7・4倍。
照明に無数の個体が集まるスポーツ施設や商業施設だけでなく、民家の網戸やマンションの壁面などでも目立ち、
市民生活への影響は小さくない。
「洗濯物に付いて困っている。取り込む際に1匹ずつ手で払っており、臭くて嫌になる」と岡山市北区の住人(78)は言う。
9月中旬にはJR岡山駅の山陽新幹線ホームでドアと車両の間の障害物を感知するセンサーにカメムシが止まり、
上下線で運転を一時見合わせるトラブルも発生した。
「異変」はなぜ起きているのか。
岡山県森林研究所(勝央町)は「近年の記録的な猛暑で餌となるヒノキやスギの実が多くなったことが、
個体数の増加につながったのではないか」と推察。加えて、市街地での大量発生には今夏の少雨も影響しているとみられる。
岡山市中心部の9月の降水量は52・5ミリと平年値(142・2ミリ)を大きく下回っており、
餌に恵まれた山間部で個体を増やしたカメムシが雨を避けながら市街地の明かりを目指して多数飛来した、
というのだ。
カメムシに詳しい兵庫県・伊丹市昆虫館の長島聖大学芸員によると、カメムシは寒さが苦手なため、
今後は目にする頻度は徐々に減るという。
ただ、成虫のまま越冬し、市街地でも街路樹の葉などにくっついて冬場を過ごすとみられ、
長島学芸員は「大量発生は来年以降も続く可能性がある」とする。