令和4年3月9日 i-JAMP
農地利用「地域計画」を法定化
関係者で協議、市町村が策定
※要研究が必要です。
農林水産省は、地域の農地利用の将来像を示すため市町村が策定する「人・農地プラン」について、
「地域計画」として法定化する方針だ。
農地の安定的な利用に向け、地域の関係者による協議の場を設け、市町村は協議結果を基に、
農業で利用する区域や農地の将来の利用者らを計画で明確化する。
8日に閣議決定された農業経営基盤強化促進法改正案に関連規定を盛り込んだ。
人口減少や高齢化に伴う担い手不足に加え、耕作放棄地の拡大の加速が懸念される中、
農水省は、生産の効率化に向けた農地の集約化を進める方針。
これまでも通知でプランの策定を市町村に求めてきたが、計画に盛り込む事項などを法律に位置付けることで、より強力に対応したい考えだ。
具体的には、市町村は、農業者や農業委員会、農地中間管理機構(農地バンク)、
JA、土地改良区など、関係者による協議の場を設置。
協議の場では、地域農業の将来像を話し合うほか、農地を「農業上の利用が行われる区域」と、
従来通りの農業が難しい場合も荒廃しないよう「保全等・林地化を進める区域」に整理し、結果を公表する。
法案には、市町村が「協議の結果を踏まえ、地域計画を定めるものとする」と明記した。
地域計画では、計画に位置付ける「農業上の利用が行われる区域」と該当区域の将来像に加え、
一筆ごとに10年後の農地の利用者らを「目標地図」として示す。
目標地図の素案は、市町村の求めを受けて農業委員会が作成。
農水省は、2023年4月に想定する同法施行から2年以内に計画を策定してもらう考えだ。
農地の受け手がすぐに見つからない場合は、いったん扱いを保留し、計画の作成後に調整して随時反映させることも可能とする。
目標地図の実現に向け、農地バンクへの農地貸し付けを促進する仕組みも設ける。
地域計画に盛り込んだ全部または一部の区域で、農地所有者らが3分の2以上の同意を得た場合、
区域内の農地の貸付先をバンクに限定することを市町村に提案できるようにする。農水省は当初、
貸し付けに同意しない所有者に市町村がバンクとの話し合いを勧告できる制度も検討したが、見送った。
一方、地域の協議の結果、「保全等・林地化を進める区域」に位置付けられた農地は、農山漁村活性化法の活性化計画で対応。
農水省は今国会に提出した同法改正案に、活性化計画に盛り込める事業として放牧や鳥獣緩衝帯、林地化を追加した。
計画に記載された事業を行う際は、農地転用などの手続きを迅速化する特例を設ける。