安東伸昭ブログ

安東伸昭の行動日記

本郷浩二・林野庁長官ポスト「杉・ヒノキ」を考える時期

2020年07月11日 | 農林業
令和2年7月10日 i-JAMP

本郷浩二・林野庁長官
 ポスト「スギ・ヒノキ」考える時期に


本郷浩二・林野庁長官

 従事者の高齢化や所得の低さ、手入れの行き届かない人工林などの課題を抱える林業界。本郷浩二林野庁長官(ほんごう・こうじ=60)は
「戦中戦後の大量伐採で、その後切る木がなくなってしまった」ことに起因すると分析。
「林業や山村にお金が落ちなくなり、それが30~40年続いた」状況を踏まえ、人口が減っていく中でも「持続的に収穫できることが大事」と訴える。
また、「ポスト『スギ・ヒノキ』みたいなことをどう考えるか」話し合う時期に来ていると提起する。

 戦後に植林した人工林が利用期を迎えており、喫緊の課題は需要拡大。
中高層ビルの建築に木材を使用する動きも見られ「ビルに使われるならすごい需要がつくれる」と期待を寄せる。
近年は、中国向けの丸太輸出が伸び「もっと多角的に輸出を考えていかないといけない」と先を見据える。

 伐採後は、再び木を植える再造林が求められる。
日本の人工林の面積のうち、スギ・ヒノキが約7割を占め「建築材としては使いやすい」が、人口減に伴い家を建てる需要は減るとみている。

 そこで、利用期まで50~60年かかるスギ・ヒノキより手がかからず、成長の早い「早生樹」を推奨。
家具などに使われるセンダンや、コウヨウザンが代表的で「20~30年で収穫できる」という。

 子や孫の代が山を継いでくれるか分からない状況下で「60歳の林業者が自分の生きてるうちに切れるのなら、
また木を植えてくれるかもしれない。その間に次のことも考えられる」。
生産コストも低くでき、林野庁は早生樹の拡大に向け支援策を講じている。

 あまり手を加える必要のない天然林にして、生えてくる木を切って利用する形の「循環させる林業」も提案。
こういったスギ・ヒノキ以外の選択肢について「もう少しフレキシブルに考えてもいい」と話す。

 林業を持続させるために「解決しないといけない大きな課題」がシカによる食害。
「あらゆるものを食べるシカがたくさんいる限り、林業は成り立たない」と危機感を示す。
捕まえて「ジビエ」として食べることが良い解決策だと考え、引き続き環境省などと連携して取り組みを強化していく。

 担い手不足も深刻で「どの産業も人手を欲しがり、働き手が給料の高いところに流れていく。
今の林業では太刀打ちできない。生産性を上げていくしかない」と厳しい表情を浮かべる。
伐採に当たっては、切られた木を運んだり、小さく切ったりする人もおり、木が切り倒されるのを待つ「手待ち時間」なども解消していかなければならない。

 林野庁としても、先端技術を活用して安全性や効率性を高める「林業イノベーション」を推進。
例えば、苗木の運搬で人が背負っていたところを、ドローン(小型無人機)で置き換える実証実験が行われており
「システムの見直しや機械の導入による林業の働き方改革が必要」と強調する。

 1982年に技官で入庁。
初任地は青森県の鰺ケ沢営林署(現・津軽森林管理署)で、2年4カ月勤務した。
現在は世界自然遺産に登録されている白神山地を管轄していた。

 「現場に行くと、マニュアルや計画書に書いてある内容と違うことがある。
まさに現場の人と、山と相談して物事を考えないといけない。
それが勉強できて良かった」と振り返る。幹部となり視察をする際も「切った木がどう流通されるか考えていく上でも、
一番に山元を見たいと思う」そうで、現場主義は今も変わらない。

 金沢市出身で、家の近くの里山が遊び場だった。
昆虫や植物採集、キノコ採りに夢中で「言ってみれば、森林環境教育をしっかり受けた子ども時代を過ごした」。
市内はヒバでできた建物が多く「ヒバの香りが好きで、木材に興味が湧いた」と笑顔を見せる。

※真庭市の太田市長は、小泉進次郎環境大臣と、オンライ会議で、広葉樹のバイオマス発電への活用を訴える。
 山陽新聞 7月10日

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