時として、ヒネクレ者は損をする。
私は自他ともに認めるひねくれ者だ。世間一般の常識に逆らう癖がある。なかでも流行ごとが大嫌い。流行っている、今人気がある、そんな科白一つで足を止めて身を魔オて世間に背中を向ける。
ベストセラーなんて、以ての外だ。こんなランキング、収益至上主義の企業にかかれば、如何様にも変わるものだと思っている。実際、なんでこんな駄文の羅列が売れているのか理解しかねる実例を、過去に何度も読んでしまったことがある。
だから、私は今売れている本、今人気がある作家には、決してすぐには手を出さない。古本屋の棚に並び、古書店主たちの評価が定まった後でからでないと、まず読むことはない。
ただ、そんな頑固なヒネクレ者の私でも、これは多分面白そうだと感じることはある。だから、その作品が馴染みの古本屋の店頭に並ぶのを待ちに待っていた。頑固に過ぎると思うが、これも十代の頃の手痛い失敗の積み重ねから練られた姿勢なので、なかなかに変えられない。
そんな私が、久々に自分のヒネクレ度合を後悔する羽目に陥らせたのが表題の作品だ。「このミス」でも、ぶっちぎりでトップであり、200万部を超すヒット作でもあり、TVドラマ化もされたようだ。
たしかに面白い。読まずに我慢した自分の依怙地ぶりを後悔したくなるほどの出来栄えだ。率直に言えば、やはりヒネクレ者は損をしたと認めざる得ない。
悔しいので一点だけケチをつけると、あの白鳥技官である。あのような人材を許容するような度量はないよ、日本の官庁には。いや、民間の大企業でも難しいだろうと思う。モデルがいるかどうかは知りませんがね。
さて、続編はいつ読もう。またまた悩みが増えてしまったねぇ。まぁ、嬉しい悩みではありますが。