長編の小説や漫画において、伏線を張って置いて、それを如何に回収して読者を満足させられるかは、大きな課題だと思う。
この伏線の張り方と、その回収が上手いと作品の質が格段に高まる。現在、連載中の漫画でこれが上手いと思うのが表題の作品だ。拙ブログで何度も取り上げているが、それは私自身が非常に楽しみにしている漫画だからだ。
これは作者というよりも原作者の成田良吾の功績だと思う。ライトノベルのほうでは、既に知られている作家だが、近年は漫画の原作の他、漫画の小説化にも取り組んでいる。
有名なのは週刊少年ジャンプで人気を博した「BLEACH」のアナザーストーリーであろう。実はこの漫画、70巻を超える大作なのだが、未回収の伏線がかなりある。それを作者の久保帯人が監修しながら数人の作家により小説として刊行して、伏線を回収している。
このやり方に不満を持つ方も少なくないだろうが、少なくとも私は成田良吾が書いたアナザーストーリーは、大いに楽しませてもらった。この作家、とにかく伏線の回収が上手い。だからこそ表題の作品も楽しい。
多分、物語の構成力に優れているのだと思う。もちろん作画者の 漫画の上手さもそれを上手く加味して楽しめる。ちなみに今回で9冊目となった単行本だが、私の楽しみは巻末に掲載さえる短編小説である。もちろん成田良吾の手によるものであり、しっかりと漫画の本編ともリンクしているため、より深く楽しめるから嬉しい。
ダークファンタジー系の漫画が好きなら、是非とも楽しんで欲しい逸品です。