ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

蜜月関係

2024-05-20 12:39:47 | 社会・政治・一般

今から40数年前のことである。

大学受験予備校として著名な代々木ゼミナールの世界史の人気講師であるT先生が突如、マスコミ批判をし始めた。受講生たちはビックリしつつも興味津々で背筋を伸ばして全身を耳にして、その内容を一言も聞き漏らすまいと緊張した。

当時はソ連と共産シナが蜜月であり、朝日新聞を始めとしたマスコミ各社、進歩的文化人と自称する言論人が、この流れに乗り遅れまじと「日米安保廃止。ソ連との平和条約締結」とけたたましく叫んでいた。

日本共産党の本部が近い代々木でも、デモ隊が盛んにシュプレヒコールを繰り返していた。T先生、余程腹に据えかねたのか、授業を中断して話し始めた。

曰く、あれほど長く国境を接している国同士は常に紛争の種を抱えており、今現在蜜月だからといって、それが長く続くと考えるのはおかしい。そう言うと黒板に両国の歴史的は紛争を箇条書きにして、具体的に説明し、マスコミが主張する蜜月関係なんて10年以内に破綻すると断言した。

そして歴史の講師らしく「こんなバカげた言論がまかり通るのは、彼らが歴史を真剣に学んでいないからだ」と述べ、次に私たち受講生に頭を下げて「授業を脱線して済まなかった。歴史を学ぶ学究として、どうしても黙っていられなかったのだ」と静かに言葉を締めた。

すると教室のいたるところから、静かな拍手が鳴らされた。私もその一人であった。大学受験のための勉強は嫌いであったが、勉強することの本当の意義を垣間見た瞬間であり、歴史を生涯学ぶべき対象だと信じた瞬間でもあった。

当時、大学を卒業したら企業戦士として活躍するつもりであった私は当然に経済学部への進学希望であった。でも、この後本気で歴史学科への変更を悩むことになった。幸か不幸か、歴史学科のある大学は少なく、自宅の近所にはなかったので諦めた。

近所? はい、私、長すぎる通学時間は真っ平だったので、どんなに長くとも片道1時間以内の大学しか受験してないナマケグマな受験生だったからです。

ところで、当然のように五期目の大統領に決まったロシアのプーチンの最初の外国訪問の地としてシナが選ばれた。ロシアのマスコミはもちろん、両国の親密ぶりをアピールすることに躍起である。

この動きに呼応するが如く、我が国のマスコミ様の一部と政治家、言論人に日米同盟への疑問を言い出す輩が現れた。残念ながら未だマスコミ様は歴史を学ぶことをしていないようだ。

別に予言者を気取るつもりはないが、10年以内にロシアとシナは再び緊張関係に戻ると思います。震源地は中央アジア、民族問題と資源問題の火薬庫ですから。

ここでいささか卑怯なことを書いておくと、日本にとってはロシアが安定している方が都合がいいです。ロシアはユーラシア大陸の綴じ蓋のような存在です。ロシアが健在だからこそ、ユーラシア大陸中央部の戦乱は最小限に抑えられる。中華思想が極端なシナがこの地に本格的に出てくれば、ほぼ間違いなくテロが頻発し、火薬庫に火が付く可能性が高いですから。

誤解している人が多いのですが、ロシアは本質的に防衛本能が異常に強いお国柄です。だからこそ安定している時のほうが、極東地域は安定します。安定を望むロシアは、北コリアの暴発を許さないでしょうからね。まぁ北方領土は戻らんと思いますが。

コメント (2)
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