

山の朝、爽快の言葉しかない。見晴るかす千の丘に訪れた朝の光と、七つの水仙の代わりに咲き始めたクリンソウを送る。さっきからずっと聞こえてくる鳥の囀り、それを聞かせることができないのは残念だが、想像して欲しい。
白樺の方がダケカンバよりか芽吹くのが少しだけ早く、ここら辺りの林には今、みずみずしい白樺の葉と、花の時季が終わっても渋い赤色を帯びた山桜の葉が競い合うように目を惹く。
今の時季、山桜の木は緑の中に薄桃色に見えるがが、それはかならずしも花の色のせいだけではない。開きかけたばかりの花は薄っすらと桃色に染まって見えるが、爪部のワイン色や、緑の色に爪部と同色の赤みが混ざった複雑な色の葉を、白い花が白絵具のような役割をしてあの色を見せているのだ。
背景となっている落葉松も、靄ったような緑の色を深めつつあり、真っ青な空の下で降り注ぐ日の光を浴びながら、大地からはもっぱら水揚げに専念しているところだろう。
ここの自然は素晴らしい。きょうも撮影の下見が来る。
それはいいが、そんな話が来るとやはり、この自然をいかにして守っていくかということを、考えてしまう。個人の努力や行政の一担当課などでどうこうできることではないし、やるべきでもない。多くの人が参加し、英知を絞って、しっかりとした今後の方針と目標を定め、前進キャンプを設営しながら進む極地法のように10年くらいをかけ、慎重にやるのがいいと思う。経済性ばかりを追求した、どこにでもある安っぽい観光地にだけはしないことを切に願っている。
6月初旬に予定している撮影会の詳細については5月16日、No.66のブログをご覧ください。写生、探鳥も大歓迎です。
営業案内 「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」およびその(2)です。下線部をクリックしてご覧の上、どうぞご利用ください。