入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「夏」(5)

2022年06月06日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   Photo by Ume氏 

 森や林が唸っている、激しい風の音だ。思い出したように時々雨脚も強まり、その音が風の音と一緒になると咆哮はさらに猛々しくなる。霧も深い。気温も10度まで届かず、荒れた天気が続く。コナシの開花がようやく牧場全体に及び始めたというのに、早くも花を散らす木々が目に付く。
 
 撮影予定は延期となった。牛の入牧は下からまだ何も言って来ないから、好天は期待できないまま予定通り8,9日に行われるだろう。
 大沢山の第3牧区に牛を出さなくても、追い上げ坂も中段で電牧を張り放牧できるようにしたし、第2牧区の区画変更も済んで、ここにも放牧は可能となった。それでもやはりいつものように、囲い罠の中でしばらく牛をここの環境に馴化させた方がいいだろう。入牧したばかりの彼女たちは広い放牧地での解放感に興奮し、脱柵したり、事故を起こしやすいからだ。電気牧柵に慣れるのにも時間が要る。
 また、今年は弱い乳牛(ホルス)と強い肉牛(和牛)の放牧を一緒にしないで別々の牧区でやるつもりだったが、それも頭数次第になる。

 先週小屋に3泊したO谷さん夫妻と入れ替わり、女性1名を含む馴染の3人組がやって来て、やはり小屋に1泊して愉快な時間を過ごして昨日帰った。
 今はまた一人になって、しきりと聞こえてくる風雨の唸り声を聞きながら、屋根のトタンが今にめくれてしまわないかと気にしている。やり残した仕事が気になるが、この天気の中、ずぶ濡れを覚悟してまで外に出るほどの仕事ではない。
 
 K村さんが留守に置いていってくれた「ハップスブルグ夜話」を読んでいた。この王朝とは、西洋史には殆ど関心がないのに、なぜか多少の縁があって他にも読んだ。
 きついコルセットで思い切り腰の辺りを締め付け、優雅を装った貴婦人たち。その代表格の一人、自身の美しさに病的ともいえるほど拘り、旅を好んだというオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフの妃エリザベートも、消化器系の病を抱えてあまり健康ではなかったらしい。
 いつかこの仕事を辞めて山を下りたら、ドナウ川を遡り栄光の都ウイーンを訪ね、何か国か東欧諸国にも足を伸ばしたいと思っていた。そして最後は、シベリア鉄道に乗って荒涼とした大地を、広大な風景を見てみたいと願い、それが長年の夢だった。しかし、今般のロシアによるウクライナ侵攻により、その気が失せた。

 午後になっても、雨も風も止みそうにない。
 キャンプ場を含む「入笠牧場の宿泊施設のご案内」は下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。
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