入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「冬」(2)

2023年11月02日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 高座岩へ行くと東南方向に見える山がある。標高は入笠山や、それより僅かに高い権兵衛山よりもさらに少々高く、2000㍍を若干だが超える。この山も名前がないのでとりあえず「六兵衛山」と勝手に呼んできた。
 何年か前に斜面の一部が皆伐され、山頂近くに伐り残された恐らくはダケカンバだと思うが今も、そのまばらな林が遠目になかなか印象的に見える。以前から一度は行ってみたいと、老いの思いを募らせていた山だった。クク。

 昨日も好天で、出発は10時過ぎとなったが、その前に握り飯を3個作り、おかか、梅干し、昆布の佃煮を入れ、さらには水まで持って出発した。
 登路に選んだ急な作業道をしばらく行くと、フェンスが行く手を阻み、さてどうしたものかと思案した。そして、これは皆伐した後に、気付かなかったがちゃんと落葉松を植林し、動物の食害から若い苗木を守るために設けた柵だと分かった。
 立ち入り禁止とはなっていなかったし、入り口は針金を巻いてあったが開いた。もっとも、こんな場所へ来ようとする人などいないはずだし、もしいたとしても、しばらく歩いただけで引き返すだろう。藪が生い茂り、しかもトゲのある灌木が密生していて、それを避けながら悪路の登行にずっと耐え続けなければならない。
 1時間以上もつづら折りの作業道で難渋を重ね、その挙句、頂上よりかなり手前でまたしても行く手を遮るように柵が現れ、左方向へと下っていった。仕方なく、出口となる扉を開けて出た。出るしかなかった。
 
 さて柵内から出たはいいが、目の前は背の高さを越えるクマササが待っていて、径らしきはまったく見当たらない。
 しばし途方に暮れたがようやく、10㍍ばかり先に1本の落葉松の大木に赤いビニールテイプが巻き付けられているのが目に留まった。いつ誰がしたものかは分からないが、そこまで人が入ったことは確かなのだ。
 猛烈な藪漕ぎになったが行ってみた。すると、またその先にも同じようなテープが行く手を示すように待っていた。しかし、人が通ったと思えるような足跡などはまったくなく、2,3本はその目印に頼ったが、それ以降はそれを探す手間も面倒になり、とにかく急な斜面をひたすら高度を上げることに専念した。
 ようやくにして古い作業道に出た。頂上に近かった。そこから眺めたら、ダケカンバだと思っていた林は、立ち枯れた落葉松だった。
 
 国土の7割を占めると言われる山林、それを守り育てる人の努力を、偉さを、今回ほど強く身に沁みて感じたことがあっただろうか。
 急な斜面を分け入って、たとえ1本であれあんな大木を伐り倒すことがどれほどの困難と危険を伴うことか。さらには深い藪の生い茂る中をあれほど広域にフェンス張り巡らし、木を育てようとした人たちがいたとは、久しぶりに尊いものを目にした。
 
 今回も登路の詳述は控えるが、もう二度と行くことはあるまいと思いながら山を下った。
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