開田から眺める仙丈岳、散歩はこの辺りから左手、北へ向かう
里で暮らすようになって、すっかり運動量が減ってしまった。そのせいか、数少ない贅沢のひとつである快眠が、上にいる時のようにできなくなってしまった。それではならじと試しに昨日、散歩に出てみた。
結果はどうであったか。なんと、散歩の効果は絶大だと言え、ここで呟くのが憚れるほどよく眠れた。
冬枯れの山付きの野を歩くのだが、距離的には牧場からテイ沢、ヒルデエラ(大阿原)を経由して、山頂を一周するのとほぼ同じくらいだろうか。散歩道にもそれなりの起伏があり、峠も超える。それでも、今は「首切り登山口」などという標識が立っている入笠の裏側の登山口、あれは「仏平」と言う立派な名前があるのだが、あそこから山頂へ至るほどの傾斜はない。
あの辺の様子もこれから呟くつもりでいるが、開田、畑中、谷川、山裾の小さな峠超え、そしてそこからの伊那谷の眺望などなど、かなり気に入っている。
晩秋から本格的な冬へと季節が移行していき、やがては雪道を歩くようにもなる。そして寒さに耐えているうちに、いつしか経ヶ岳の雪が消え、樹々の芽吹きが始まり、そのころには花を待望しながら歩くようになるだろう。「冬夜長し」などとあの人は言ったけれど、そういう思いの裡にも瞬く間に時は過ぎていくはずだ。
昨年は夜間が多かった。冬の星座を眺めながら歩くのも捨てがたく、時にはそうするつもりだが、午後の暇つぶしには散歩と「座る」のが何よりの方法だと分かって来た。
一昨夜、友人及び先祖の墓参りを済ませたので、それをもって、以後夜間の墓参は控えることにする。墓の主たちの安眠を妨げてはいけないし、人の目に付けば騒ぎになるだろう。恥ずかしながら、変わり者の評価を甘受している。
本日はこの辺で。