昨日と一転、お堅い話題です。献身的偉業に感動しつつ読み進む、野口昇さまの素晴らしい著書を紹介しよう。元ユネスコ事務局長の松浦晃一郎氏が、「血の通ったユネスコ論」と題する序文で「職業人のほとんどをユネスコと関わって過ごし、しかも多重構造を持つユネスコのすべての側面で働くという希有の経験の持ち主である」と紹介し、且つ、「パリのユネスコ本部での2度にわたる国際公務員としての勤務…、ユネスコ北京事務所長として中国をはじめ、モンゴル、北朝鮮を担当し、この地域で多様なユネスコ事業に携わっていた……その誠実な人柄と着実な仕事ぶりで信頼されていた。」と最高の推薦文を寄稿しているが、まず世界遺産の定義を学び得ることだけでも大きな収穫である。また、平山郁夫氏につきそってのお手伝い、文化財難民の保護、ピョンヤン国際映画祭参加、カザフスタンの核実験場閉鎖、21世紀へのメッセージ“平和の文化”等々、最後まで学び続け、感動し続ける傑出した著作である。我々夫婦の旅、地球千鳥足の合言葉は長い間、「世界遺産より人間遺産を!」で、現地の人々との出会いを重視し楽しんできた。が、野口氏のこの貴重な著書から、世界遺産実現の陰に数々の人間ドラマと心ある人々の限りない努力があったことを学び、次の旅から「人間遺産も世界遺産も!」と関心が同じ比重になるだろうと確信している。(彩の渦輪)