第125回 2016年5月10日 「多彩な色 きらめく~岡山 倉敷のガラス製品~」リサーチャー: 黒谷友香
番組内容
深く澄んだ海を思わせるブルーが特徴のガラスの器がある。表面に刻まれた斜めのラインが光を受けて輝き、ブルーに一層深みを与えている。岡山の倉敷で作られたものだ。実は倉敷は個性的な色合いのガラス製品を続々と生み出している、知る人ぞ知るガラスの産地。ステンドグラスのように輝く美しいグラスや、神秘的な斑文をたたえた話題の器など。多彩な色と輝きを追求する職人の飽くなき情熱に、黒谷友香が迫る。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201605101930001301000 より
詳細不明につき、勝手に調べてみました。
「倉敷ガラス」
使いやすく、美しい。用の美を追求した「倉敷ガラス」の魅力
倉敷ガラスとは、創始者・小谷眞三さんとその息子・栄次さんだけが作る吹きガラス製品のことです。日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」の構成文化財の民芸品でもあります。
50年以上、人々の生活の中で愛されてきた倉敷ガラス。その魅力を知り、購入もできるおすすめスポットが、倉敷民藝館と日本郷土玩具館サイドテラスです。
2020年度、倉敷ガラスに魅せられ「もっと知ってほしい」とPR活動を行った、金光学園高校2年生の取り組みも併せて紹介します。
掲載日:2021年03月29日
倉敷ガラスとは
創始者・小谷眞三さんとその息子・栄次さんが作る吹きガラス製品、「倉敷ガラス」。繊細なうねり模様や、波打った形には、手仕事ならではのあたたかみがあります。
ぽってりとした厚みのある倉敷ガラスは、美しいだけでなく丈夫で長持ち。飲み物を飲むときには、唇にコップのふちの優しい感触が楽しめます。
日常生活の用途に役立ちながら、その姿が自然と美しいことを「用の美」といいます。倉敷ガラスはまさに「用の美」を追求して作られています。
倉敷ガラスは、日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」の構成文化財の民芸品でもあります。
民芸品とは「民衆的工芸品」という意味。鑑賞を主な目的とする美術工芸品に対して、人々の暮らしの中で使われる丈夫で美しい品々のことを指します。
1964年、小谷眞三(こたにしんぞう)さんが倉敷市水島に創業した「水島ガラス」。それまで共同作業で制作するのが一般的だった吹きガラスを、工房でひとりで制作する「スタジオ・グラス」と呼ばれる形でスタートしました。もともとクリスマスツリーの飾り玉を作っていたそうですが、ガラスコップの依頼をきっかけに食器を作るように。
1966年、倉敷民藝館の初代館長、外村吉之介(とのむらきちのすけ)さんが「倉敷ガラス」と命名し、改名されました。外村吉之介さんは倉敷ガラスや備中和紙など、様々な手仕事を指導し、民芸の発展に尽力した人物です。
小谷眞三さんは外村吉之介さんから教わった「健康で、無駄がなく、真面目で、威張らない」という教訓を大切にしてきました。
息子・栄次さんもまた、民芸の精神を大切に、使いやすく素朴な美しさがある倉敷ガラスを作り続けています。
倉敷民藝館
倉敷美観地区にある倉敷民藝館は、暮らしの中で使われてきた民芸品の用の美について、その多彩さ、奥深さを知ることができる施設です。
江戸時代後期にできた米倉を活用した建物自体も見ごたえがあります。
陶磁器、ガラス、木工品、染織品など1万点以上を所蔵しており、そのほとんどが初代館長である外村吉之介さんが世界各国から集めたものなのだとか。
常設展示の部屋は3部屋、「岡山の民芸品」「李朝の焼物と木工品」「世界の籠の部屋」。そのほか、期間を区切って企画展や特別展を開催しています。
常設展示の部屋「岡山の民芸品」には、備中和紙、麦稈真田(ばっかんさなだ)、花莚(はなむしろ)などの民芸品がずらりと並びます。
倉敷民藝館の売店では倉敷ガラスのコップ、皿などの器を購入することもできます。
間近でじっくり見ることができるので、こちらもおすすめです。ご自身の生活の中に倉敷ガラスがある様子を想像しながらご覧ください。
日本郷土玩具館 サイドテラス
同じく倉敷美観地区にある日本郷土玩具館 サイドテラスも、倉敷ガラスに出会えるおすすめスポットです。
日本郷土玩具館は、江戸時代から現代までの全国各地のおもちゃが展示されています。お土産品もレトロなものが多く、建物の雰囲気と合っています。
奥に進むと雰囲気がガラリとかわり、陽光がふりそそぐサイドテラスというスペースがあります。倉敷ガラスを中心に、生活に彩りを加える器や雑貨が並んでいます。
窓際に倉敷ガラスが展示されている様子がとっても綺麗なのでぜひ足を運んでください。もちろん購入することもできます。
倉敷ガラスはそのほか、倉敷美観地区や倉敷駅前の本通り商店街のお土産屋さんでも見つけることができます。
金光学園高校2年生の取り組み
今、多くの高校で、地域課題にチームで協働的に取り組む課題解決型の授業「探究学習」が行われています。浅口市にある金光学園高等学校もそんな高校のひとつです。2020年度、特別進学クラス文系 日本遺産チームの4人は、日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」の構成文化財として「倉敷ガラス」についての探求学習を行いました。
チームリーダーの渡邉文奈さんの自宅には、昔から倉敷ガラスの食器があり、今でも使っているほど身近な存在です。
実際に倉敷ガラスが作られる様子を見に、2020年7月、小谷栄次さんの工房を訪ねた高校生たち。お話を聞き、汗を流しながらひとつひとつ丁寧に器が作られていく様子を動画に収めました。
その後、若い世代にも倉敷ガラスを知ってほしいというねらいで、「くらしにプラス くらしきガラス」をテーマにプロモーション動画を3つ制作。
集大成である動画は、全国の高校生が参加する「観光甲子園」日本遺産部門で決勝大会に進出しました。
動画には、倉敷ガラスへの想いを話す小谷栄次さんの姿が収められているほか、探求学習を通じての高校生の学びがナレーションで入っています。 「めまぐるしく変わるこの世界で生きるぼくたちに、倉敷ガラスは一日一日を丁寧に過ごすことの大切さを教えてくれた。日常にひとつプラスするだけで暮らしをぬくもりのあるものにしてくれる」 民芸品の「用の美」は、若い世代にもリアルな実感として伝わったようです。
チームリーダーの渡邉文奈さん(写真右)は「倉敷ガラスの探求学習を通じ、地元独自のものの大切さを実感しました。また、動画づくりを通して、地元のいいものを広めていく活動が自分にもできるという気づきもありました。今後も引き続き活動していきたいと思っています」と話してくれました。
*https://www.okayama-kanko.jp/okatabi/693/page より
「倉敷ガラス」
民藝ガラスを代表する、岡山の倉敷ガラス
岡山県倉敷市は多くの民藝が息づく地域です。この地で代表的なガラス製品である「倉敷ガラス」は、小谷栄次氏そして創設者であり父の小谷真三氏の吹いたガラスのことをさします。
現在では息子の栄次氏が、その技法を受け継ぎながら民藝の地を代表する、あたたかみのあるガラス製品を生んでいます。
日本におけるスタジオガラスのパイオニア
古くから複数の職人による分担作業によりつくられていた吹きガラスの仕事。これを一人でこなす「スタジオガラス」として技術を確立させたのが創設者の小谷真三氏です。元々輸出用のクリスマスオーナメントのとんぼ玉を吹く職人だった真三氏が、1964年に水島ガラスとして独立創業、その後倉敷ガラスとして改名しました。その後息子の英次さんが弟子入りし、倉敷ガラスは日本の民藝ガラスの牽引する存在となりました。
倉敷ガラスの深みあるブルーと
捻りモールがつむぎだす、美しい光の屈折
「小谷ブルー」とも称される特徴的な青色。一見色味が強いように感じる深みあるブルーですが、実際に目にすると手仕事独特の柔らかい雰囲気をまっとっているので、日常的に使える馴染みの良さがあります。
そして、思わず光にかざしたくなる、そんなガラス本来の美しさを際立たせるのは、側面に絶妙に入れられたモール模様。器から生まれる光と影に魅了されます。
現在、栄次氏が用いている道具はご自身が作られた手作りも多く、コップなどの型作りにはご自身で缶詰に手を加えたもの、缶につけられた針金がガラスに絶妙な模様を生みだします。独自の風合いや作業工程のため、吹き竿も通常のサイズのものより短めで効率良く作られています。
*https://www.realjapanstore.com/c/brand/brand_okayama/brand_okayama_kurashiki_glass より
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