「赤い靴」、ほとんどの方がご存じかと思います。
赤い靴はいてた女の子 異人さんに連れられて行っちゃった
横浜の埠頭から汽船(ふね)に乗って
異人さんに連れられて行っちゃった
今では青い目になっちゃって 異人さんのお国にいるんだろう
赤い靴見るたび考える 異人さんに逢うたび考える
今の時代感覚だと、「連れられて」など、まるで拉致事件のようですが、大正時代に世に出された野口雨情作詞・本居長世作曲の童謡です。
さて、このモデルになったとされている少女をめぐって、かなり前から大議論があったとは、つい最近まで知りませんでした。
明治35年に生まれたきみちゃんという少女は、家庭の事情で、メソジスト派の宣教師に引き取られてアメリカに行くはずでした。で、この子は果たして本当に海を渡ったかどうかという疑問なのですが、宣教師が帰国するときにはすでに重篤な病に冒されていて、長旅には耐えられないということで、預けられた福祉施設で44年に短い生涯を終えたということになっています。ところがこの説も事実ではなくて、実際には少女にはもともと渡米する話どころか、宣教師と一度も出会ったことがないなど、歌とはずいぶん違う生き方だったようです。
9歳という短い生涯を、赤い靴にも船にも異国にも関係なく、一生懸命に生きた1人の無名の少女の小さな足跡、今さら辿ることはできなくとも、神さまの中での永遠のいのちの広がりで、どこか繋がりたい気がしています。そんな話に耳を傾けた昨日でした。
そして今の時代、DV、いじめ、病気など、不遇な子ども時代を過ごしているすべての小さないのちを、いつくしみの父である神さまにお委ねいたします。