日本には、「井戸端会議」という素晴らしいものがあります。早い話が、御近所のコミュニケーション。なくしたくない風景です。現代では、お互いを監視する、「隣組制度」の心配はないでしょうし。
毎日のプール通い。「更衣室会議」というものがある。この会議、大人はしませんが、子供達は熱心に開催しています。
更衣室で子供達の会話を聞く…盗み聞き!人聞きの悪い!聞こえてくるから無意識のうちに聞いているだけです。更衣室会議に巻きこまれそうになることもありますが…。
空いているロッカーは、誰が使ってもいいはずなのに・・・
小1:おじさんそこボクの…
私:え?決まってないでしょう。どこへ入れてもいいんだよ。
小1:ボクは、そこへいつも入れているの。
(子供相手に意地を張ってもしょうがない。寛大な私です)
私:じゃあ、おじさんはこっちへ入れるからね。
小1:キャラメルとプリンどっちが好き?
(なんなんだこの子は?ロッカーを譲ってあげたのにいきなり嗜好クイズ!更衣室会議へ引きずり込もうという考え。還暦過ぎのオヤジを引きずり込むなよなあ!)
私:どちらも好きだけど、どうしてもどちらかを選ばなければならないの?
小1:1年生なのに、3年生に間違われるんだぁ!
(クイズはどうした!クイズは!クイズとみせかけて、いきなり私的なことを開陳して、興味を自分に向けさせる。最近の1年生は高度なテクニックを使うものだと感心)
オジサンは、しばし、小1の子の現況やら、悩みやらを聞かなければならないハメに陥ったのでありました。子供電話相談室…。
ヤセた子が騒いでいた。
ヤセ:ボクのズボン、ない。
私:なくなったの?
ヤセ:44番に入れておいたのに…
私は、そこら中のロッカーをあけて探したが、彼のズボンは見つからなかった。彼は、ブリーフ一枚で更衣室を出て行った…。まだ一人残っていた。上半身はすでにTシャツ姿だが、下半身は、なにもつけていない。
残っていた子:ボクの場合、パンツもズボンもないんですけど!
(ふざけているのかと思ったが、彼はフリチンで途方に暮れていた。私は目敏くプラスティックバッグを見つけた)
私:あそこに置いてあるの、違うの?
残っていた子:あ!あった。どうも有り難うございます。ボクねえ、宿題の自由研究なんだけど、ホタル…
とっととパンツはけ!と言いたいところだったが、なぜか見込まれた。子供電話相談室の無着成恭先生よろしく(古っ!)、相談に乗る私だった。
中学生になると、オジサンに相談は持ちかけない。しかし、更衣室という閉塞感が外部に漏れる心配がないという安心感を与えるのか、本音トーク。
中体連の柔道で、都道府県大会へ出場した、猪俣君(仮名)について語られていた。
「猪俣は、昨日もオマエン家に来ていたの?」
「うん。9時までね」
「猪俣、大変なんだべ?」
「うん。今のオヤジは、殴るから。柔道部は、天候に関係なく活動があるし、遅くまで練習するから入ったんだ。放課後学校を出ると街をブラブラして、オレン家の夕食が終わった頃、部屋に来る。ほぼ毎日。うちの母さんが、9時になったら『帰りなさい』と言うから帰る。その後は、外から自分の家の様子を見て、オヤジが寝ているようなら静かに家に入る。見つかると殴られるから…。猪俣が、真っ先に登校するのは、オヤジが起きないうちに家を出るから。夏休みは、朝早くに家を出ても行くところがないから…」
猪俣君は、母親の連れ子。母は、彼を連れて再婚か再々婚かは知らないが、今のオヤジの所へ来た。そして、新しいオヤジによる妻の連れ子への暴力が始まった。そのオヤジは、母親より、20歳ほど年上(還暦過ぎと思われる)。自分は暴力団に顔がきく(どうせ、使い走りでしょう。嘘八百並べて自分を大きくみせる)と吹聴するため、柔道が強い猪俣君にも反抗する気を起こさせない迫力があるらしい。猪俣君の夢は、「中学を出たら家を出る」。なお、猪俣君に関する更衣室での友達の話は、実際より矮小させて書きました。もっと酷い話でした。
立ち聞きだけの情報ですが、猪俣君頑張っていますよ。実際には、「ホームレス中学生」より大変な状況でしょう。14歳の子の安全な居場所が、「学校と友達の家と街」。この14歳、生まれてからの14年間の酷い経験の連続は、61年間生きている私が経験した酷いことの、何倍、何十倍、何百倍も…。平和に還暦過ぎの暮らしをしている自分が申し訳ないような…。
彼が、早く家を出られたらいいなあと祈るしかありません。その前に、事件が起こらなければいいのですが。近所の人も、学校もこのようなことがあるなんて思いもしないでしょう。人間関係が希薄ですから。このような中学生、稀な例ではないのかも知れません。人間関係が濃いのは、更衣室でしょうか。
帰りがけに、受付の元お嬢さん尋ねた。
私:ズボンがなくなった子、どうしました?
受付の元お嬢さん:さあ?あのまま帰りましたよ。お母さんも何も言っていなかったし。(この受付の元お嬢さん、現おばさん、「さあ?」は、ないですよね。いつも素っ気ないんです。いい人だとは思うのですが。もう一人、鬼瓦がメガネをかけた感じの元お嬢さんがおりますが、こちらの人の方が愛想がいい。彼女らは、意思表示などしそうもない年配のプール利用者が、このような評価をしているとは夢にも思わないでしょう。人間、どこで誰に評価されているか分からないものです)
ブリーフ1枚で帰って行った子の姿を連想し、おかしかったのですが…子供のズボンがなくなったのに、何の反応もない母親、大丈夫だろうか?まさか、家を出るときからブリーフ一枚だった…?!母親のほうが心配。
田舎でも、犯罪と紙一重のところで暮らす14歳がいることを知りました。更衣室情報は濃い!
毎日のプール通い。「更衣室会議」というものがある。この会議、大人はしませんが、子供達は熱心に開催しています。
更衣室で子供達の会話を聞く…盗み聞き!人聞きの悪い!聞こえてくるから無意識のうちに聞いているだけです。更衣室会議に巻きこまれそうになることもありますが…。
空いているロッカーは、誰が使ってもいいはずなのに・・・
小1:おじさんそこボクの…
私:え?決まってないでしょう。どこへ入れてもいいんだよ。
小1:ボクは、そこへいつも入れているの。
(子供相手に意地を張ってもしょうがない。寛大な私です)
私:じゃあ、おじさんはこっちへ入れるからね。
小1:キャラメルとプリンどっちが好き?
(なんなんだこの子は?ロッカーを譲ってあげたのにいきなり嗜好クイズ!更衣室会議へ引きずり込もうという考え。還暦過ぎのオヤジを引きずり込むなよなあ!)
私:どちらも好きだけど、どうしてもどちらかを選ばなければならないの?
小1:1年生なのに、3年生に間違われるんだぁ!
(クイズはどうした!クイズは!クイズとみせかけて、いきなり私的なことを開陳して、興味を自分に向けさせる。最近の1年生は高度なテクニックを使うものだと感心)
オジサンは、しばし、小1の子の現況やら、悩みやらを聞かなければならないハメに陥ったのでありました。子供電話相談室…。
ヤセた子が騒いでいた。
ヤセ:ボクのズボン、ない。
私:なくなったの?
ヤセ:44番に入れておいたのに…
私は、そこら中のロッカーをあけて探したが、彼のズボンは見つからなかった。彼は、ブリーフ一枚で更衣室を出て行った…。まだ一人残っていた。上半身はすでにTシャツ姿だが、下半身は、なにもつけていない。
残っていた子:ボクの場合、パンツもズボンもないんですけど!
(ふざけているのかと思ったが、彼はフリチンで途方に暮れていた。私は目敏くプラスティックバッグを見つけた)
私:あそこに置いてあるの、違うの?
残っていた子:あ!あった。どうも有り難うございます。ボクねえ、宿題の自由研究なんだけど、ホタル…
とっととパンツはけ!と言いたいところだったが、なぜか見込まれた。子供電話相談室の無着成恭先生よろしく(古っ!)、相談に乗る私だった。
中学生になると、オジサンに相談は持ちかけない。しかし、更衣室という閉塞感が外部に漏れる心配がないという安心感を与えるのか、本音トーク。
中体連の柔道で、都道府県大会へ出場した、猪俣君(仮名)について語られていた。
「猪俣は、昨日もオマエン家に来ていたの?」
「うん。9時までね」
「猪俣、大変なんだべ?」
「うん。今のオヤジは、殴るから。柔道部は、天候に関係なく活動があるし、遅くまで練習するから入ったんだ。放課後学校を出ると街をブラブラして、オレン家の夕食が終わった頃、部屋に来る。ほぼ毎日。うちの母さんが、9時になったら『帰りなさい』と言うから帰る。その後は、外から自分の家の様子を見て、オヤジが寝ているようなら静かに家に入る。見つかると殴られるから…。猪俣が、真っ先に登校するのは、オヤジが起きないうちに家を出るから。夏休みは、朝早くに家を出ても行くところがないから…」
猪俣君は、母親の連れ子。母は、彼を連れて再婚か再々婚かは知らないが、今のオヤジの所へ来た。そして、新しいオヤジによる妻の連れ子への暴力が始まった。そのオヤジは、母親より、20歳ほど年上(還暦過ぎと思われる)。自分は暴力団に顔がきく(どうせ、使い走りでしょう。嘘八百並べて自分を大きくみせる)と吹聴するため、柔道が強い猪俣君にも反抗する気を起こさせない迫力があるらしい。猪俣君の夢は、「中学を出たら家を出る」。なお、猪俣君に関する更衣室での友達の話は、実際より矮小させて書きました。もっと酷い話でした。
立ち聞きだけの情報ですが、猪俣君頑張っていますよ。実際には、「ホームレス中学生」より大変な状況でしょう。14歳の子の安全な居場所が、「学校と友達の家と街」。この14歳、生まれてからの14年間の酷い経験の連続は、61年間生きている私が経験した酷いことの、何倍、何十倍、何百倍も…。平和に還暦過ぎの暮らしをしている自分が申し訳ないような…。
彼が、早く家を出られたらいいなあと祈るしかありません。その前に、事件が起こらなければいいのですが。近所の人も、学校もこのようなことがあるなんて思いもしないでしょう。人間関係が希薄ですから。このような中学生、稀な例ではないのかも知れません。人間関係が濃いのは、更衣室でしょうか。
帰りがけに、受付の元お嬢さん尋ねた。
私:ズボンがなくなった子、どうしました?
受付の元お嬢さん:さあ?あのまま帰りましたよ。お母さんも何も言っていなかったし。(この受付の元お嬢さん、現おばさん、「さあ?」は、ないですよね。いつも素っ気ないんです。いい人だとは思うのですが。もう一人、鬼瓦がメガネをかけた感じの元お嬢さんがおりますが、こちらの人の方が愛想がいい。彼女らは、意思表示などしそうもない年配のプール利用者が、このような評価をしているとは夢にも思わないでしょう。人間、どこで誰に評価されているか分からないものです)
ブリーフ1枚で帰って行った子の姿を連想し、おかしかったのですが…子供のズボンがなくなったのに、何の反応もない母親、大丈夫だろうか?まさか、家を出るときからブリーフ一枚だった…?!母親のほうが心配。
田舎でも、犯罪と紙一重のところで暮らす14歳がいることを知りました。更衣室情報は濃い!