バッタモンのポタリング日乗

松本在住の自転車散歩日記です
  時々余計な話題も

東京ポタ:鳩の街

2008-04-23 18:49:45 | ポタリング
「鳩の街商店街」 いかにも平和そうな名前ですね。
でもピンクの支柱が物語るように、ここは旧赤線地帯で、永井荷風の「墨東奇譚」や滝田ゆうの「寺島町奇譚」で有名な赤線玉の井が戦災で壊滅した後ここに移転し、戦後はかなり賑わったと言うことです。

吉行淳之介の「原色の街」の舞台にもなった所なので、当時の様子をその小説から引用してみましょう。
「それは、極ありふれた露地の入り口である。しかし、大通りからそこへ足を踏み入れたとき、人々はまるで異なった空気につつまれてしまう。
細い路は枝をはやしたり先が分かれたりしながら続いていて、その両側には、どぎつい色あくどい色が氾濫している。ハート型にまげられたネオン管の中では、赤いネオンがふるえている。洋風の家の入り口には、ピンク色の布がたれていて、その前に唇と爪の真っ赤な女が幾人も佇んでいる」

しかし、現在はそんな華やかな花街の片鱗はほとんどありません。赤線跡マニアが所々に残った痕跡を求めて来るようですが、次第に希釈され普通の寂れた商店街となってしまっています。
先の玉の井はマイナスイメージのために、その名前が地図上から完全に抹殺されてしまいましたが、この街はそんなことが無いようにして欲しいものです。

もう一度訪れて街のディティールを観察してみたい所でした。
コメント
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