デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



カンピドーリオ広場へ(ローマ市内)

ローマに行ったのは、塩野七生の『ローマ人の物語』(全15巻)を読んでからであったが、作品の図版や作品の内容に即した旅行ガイド書を見る限り、ローマで私一人でユリアヌスの胸像や横顔が刻まれたコインを見つけるのは難しいと思っていた。
しかし、なるべくよく探すため、そしてたくさんの展示物をじっくり鑑賞するため、カンピドーリオ広場にあるカピトリーニ博物館には開館時間に行こうと思った。
博物館に入りスキピオやスッラやポンペイウスやキケロ、ギリシアの哲学者たちの胸像をじっくり見たあと奥の部屋に歩みを進めたのだった。歩みを進めながら、目に飛び込んできた立像にわが目を疑った。


Iulianus Apostata, ユリアヌスの像

こんな目立つところに、まじですか!?と思った。この形の像はその時に私が知っていたかぎりではルーヴル博物館にあるはずだった。たまたま博物館の奥から出してこられていたのか、それとも他館から一時的に貸し出しもしくは寄託されていたのか、詳細は分からない。
とにかく、像は足元の表示に本当に「Apostata」とあったこともあり、この蔑称でもっても、まばゆい存在感を私に放ってくれていた。まさか、あるとは思っていなかった所での邂逅に感激した。なんという幸運だったのだろう、と思う。
ユリアヌスの立像をじっくり見たあと、シンマクスの石碑も見たのだった。この時の旅の大きなテーマは今から思い返してみても私の手に余るようなものだった。しかし、今となっては『背教者ユリアヌス』をいつの日か手がけるにあたっての無自覚な心的動機を自ら植え付けたというか、お膳立てしたところもあったのかも知れぬと思う。

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