少し前に新聞に出ていたBOSEのホームシアター機器の広告です。この書「一」を書いたのは書家の柿沼康二です。現在活動している書家の中で私が最も注目している人の一人ですが、TVのCMでも放映されています。
サイトを読むと、この書は縦3m、横5mの大字なのだそうです。顔真卿の書法を使いながら、墨の飛び散った、すごい迫力ですね。
書の表す複雑で強い世界観を、BOSEの機械の持っている複雑で高度な機能とだぶらせて、この機械の性能のすごさを宣伝しています。
最も現代的な、無機的な外見の機器のCMに、複雑な線と表現を使った書が使われていることがすごいと思います。以前だったら、西洋人のモデルが西洋的な生活の中でおしゃれに使っている場面の中で、精緻な機能を宣伝するようなCMが多く、そこに使われている文字は例えばゴシック体のようなものだったはずです。
ところが、今はここに、最も東洋的な書の線が使われるのです。
時代の感性が確実に変化しています。書に関わる人たちはこれを感じとらねばなりません。
今日の夕方、学生が一字書のデモンストレーションをします。縦4m、横3mの大字です。午後3時には会場に入って準備をします。本番が夕方の6:40頃になるそうです。見る人に感動を伝える表現ができるといいと思います。
ネットの、車の宣伝で、タレントの女の子が袴を着て、颯爽と、
「大初春」の文字を、大きな筆をもって、豪快に、したためていました。
とてもかっこよい映像でした。