近所のお宅の門のところに枝振りのよい松があり、私はその松が気に入っています。土地はそう広くはなく、家も立派でもなければどうということのない物ですが、とにかく、その松だけは素晴らしいと思うわけです。
その松が最近見たところ初夏だというのにあまり精彩がないので、ちょっと心配したのですが、他の松を見たら他の松も同じような感じだったので、松の具合が悪いわけではなさそうだとほっとしたしだいです。
ところで、以前不動産会社に勤めていたときに聞いた話ですが、あるお宅が中古住宅として家屋敷を売り、それを買った人がおり、それを扱ったのが私が勤めていた不動産会社なのですが、庭の松の木の所有権のことで大問題になったのだそうです。
買ったほうの言い分はその松が気に入って買うと決めたのだそうですが、元のもち主はその松は自分のものだと主張し、とりに行ったのだそうです。元の持ち主は建物と土地は売ったが松をいっしょに売った覚えはないといい、買ったほうは、松がなければ買わなかったなどという始末で、かなり険悪な状況になったようです。
そのようなことは法律ではどうなっているのか、契約時に確認するものなのか私には良くわからず、その点は社員の人にも詳しく聞かなかったのですが、おそらく、元の所有者も最初は松を持って行こうなどとは思っていなかったのに、いざ引き渡す段となったときに、松を手放すのが惜しくなってしまったようでした。
そして、不動産会社が仲裁に入ってなんとか丸く治めようとしたにもかかわらず、元の持ち主を止めることはできず、ついに大きな機械を使って松の根を掘り起こして、元の持ち主の別の新しい家に持っていったのだそうです。
悲しいことにその松は植え替えをしたことによって、その後枯れてしまったのだそうです。
「あんなことまでして欲をかいて持ち去ったから、そんなことになるんだ。枯れてしまっていい気味だ。」とある社員は言っていました。
しかし、持ち主にはいい気味でも、かわいそうなのは松です。松は死んでしまったんです。
元の持ち主からも新しい持ち主からも価値を認められながらも、いや認められたばかりに、命を失ってしまった松はなんだったんでしょうか。
やはり、土地と共に新しい持ち主に譲るべきだったんじゃないかなと思います。
近所の松の木もその土地の形にふさわしいように成長している松なので、その場でずっと元気でいてくれるといいなあと思います。





その松が最近見たところ初夏だというのにあまり精彩がないので、ちょっと心配したのですが、他の松を見たら他の松も同じような感じだったので、松の具合が悪いわけではなさそうだとほっとしたしだいです。
ところで、以前不動産会社に勤めていたときに聞いた話ですが、あるお宅が中古住宅として家屋敷を売り、それを買った人がおり、それを扱ったのが私が勤めていた不動産会社なのですが、庭の松の木の所有権のことで大問題になったのだそうです。
買ったほうの言い分はその松が気に入って買うと決めたのだそうですが、元のもち主はその松は自分のものだと主張し、とりに行ったのだそうです。元の持ち主は建物と土地は売ったが松をいっしょに売った覚えはないといい、買ったほうは、松がなければ買わなかったなどという始末で、かなり険悪な状況になったようです。
そのようなことは法律ではどうなっているのか、契約時に確認するものなのか私には良くわからず、その点は社員の人にも詳しく聞かなかったのですが、おそらく、元の所有者も最初は松を持って行こうなどとは思っていなかったのに、いざ引き渡す段となったときに、松を手放すのが惜しくなってしまったようでした。
そして、不動産会社が仲裁に入ってなんとか丸く治めようとしたにもかかわらず、元の持ち主を止めることはできず、ついに大きな機械を使って松の根を掘り起こして、元の持ち主の別の新しい家に持っていったのだそうです。
悲しいことにその松は植え替えをしたことによって、その後枯れてしまったのだそうです。
「あんなことまでして欲をかいて持ち去ったから、そんなことになるんだ。枯れてしまっていい気味だ。」とある社員は言っていました。
しかし、持ち主にはいい気味でも、かわいそうなのは松です。松は死んでしまったんです。
元の持ち主からも新しい持ち主からも価値を認められながらも、いや認められたばかりに、命を失ってしまった松はなんだったんでしょうか。
やはり、土地と共に新しい持ち主に譲るべきだったんじゃないかなと思います。
近所の松の木もその土地の形にふさわしいように成長している松なので、その場でずっと元気でいてくれるといいなあと思います。




