実家母は、高齢化して順応力がなくなってきたため、自己流・マイペースの生活をしているので、身内家族もあまり寝泊りさせたくない。
かなり強烈な個性があるため、それに合わせられるのはこの世に私一人しかいない。
私の夫は、私の実家に滞在すると、一晩で身体の調子が悪くなってしまうので、このごろはいかなくなった。生活リズムも食べ物も考え方もあまりにも違いすぎるのだ。
別室にテレビでも置かせてくれたら、夫はそこでくつろげそうだが、母が許可してくれない。
たまに来た時くらい、居間で同じものを食べ、同じテレビを見ればいいだろという。
それで、ここ数年は、私が一人で実家と自宅を往復している。
お正月も毎年そうである。
この年末年始も、母は紅白歌合戦の前半は全く受け付けないので、BSの演歌なんかをずっと見ていた。
この頃母は微妙に認知がかっているため、ドラマの筋が追えなくなってきて、ドラマもNGである。
その他は、動物の番組を見ることくらいだ。
その程度のことは2~3日なら我慢ができる。
が、昭和一桁生まれの母の物品に関する節約感覚には耐えられなくなる。
1日の朝、母は新聞受けから新聞をもってきた。
ものすごい厚さで、ポストの中に無理やり押し込まれていたので、取り出すのが大変だったそうだ。
なんでこんなに厚いんだと文句を言う。
正月だから仕方がないでしょ、と私。
母は新聞の折り込み広告をひとつづつ確認していたが、その中にひときわしっかりした光沢のある上質紙の広告があり、そのカラー印刷も綺麗であった。
どこかの商業施設の初売りのものだ。実家からは遠いところで、母には全く関係がない。
すると、母がそれを見て
「なんでこんな広告をうちに入れるの!? こんなの入れたってぱっと見て捨てるんだから、経費がもったいないよ。こんないい紙使って資源の無駄だね」というのだ。
母はいつも、自分が利用しない店や物に関する広告に対して文句を言うので、
「お母さんが行かなくても、他の人は車でそこまで買いに行ったりするのが普通なんだよ。100軒配って99軒の人が行かなくたって、1軒の人がそこに行って何十万円の買い物をすれば元が取れるんだから。しかも、広告を出す人の自由なんだから、お母さんが経費がもったいないとかいうことないの」と言った。
母「でも、こんな高級な紙使うことないのに。見てみなよ、こんなきれいな印刷ですぐすてちゃうだけなんだよ。なんでこんなことにお金と資源を使うんだか。まったくいやになるねえ」などという。
私「おかあさんは、どうしてそういうものを見たときに、もったいないとか経費の無駄だとか言って、文句を言ったり、暗い気分になるようなことばかり言うの?よその人はそうじゃないんだよ。普通は、そういうのを見たら『わあ、綺麗な広告、この福袋3万円だって買おうかしら、楽しそうね~、わあ、このレストランでこんな料理食べたいわ。このケーキもおいしそう!今から買いに行こうか』っていう反応を示すんだよ。そうやってみんな楽しく暮らしているのに、経費の無駄だとかもったいないとか文句ばっかり言ってて、こっちまで気分が悪くなるよ」
などと言い合うことになった。
母「だけど、もったいないからもったいなと思って言っただけなんだよ。思ったことをいう相手はあんたしかいないんだから言わせてくれたっていいら」
私「そういうことをいちいち言われるたびにこっちは嫌な気分になるんだよ。全く楽しい気分になれない。ネギの根っこだの干からびた大根の端っこを捨てるなとか、私が食べたあとの干物のかすを食べたりしないでもらいたいよ」
母「私は自分が物を大切にしたくてやってるだけなんだよ。世の中じゃ何でもかんでも無駄にするけど、私だけでも物を無駄にしないようにしてるんだから、いいだろ」
私「お母さんが家で腐った野菜や食品を食べているうちに、スーパーじゃもっとちゃんとしたものを廃棄してるんだよ。だったら、次々に新しいもを買ってあげたほうが社会全体では無駄がないってことなの。広告だってお金をかけて印刷して、それで売り上げが上がって経済が回ることが必要なんだから、お母さんみたいになんでもかんでも節約して縮小してたっていいことはないんだよ」
母「あんたはいちいちうるさいよ。私がもったいないと思って、その思ったことを言っただけなんだから、思ったことくらい言わせてくれたっていいじゃ。普段は一人で誰にもこんなことは言わないんだから」
私「だったら、私にも言わないでよ。いちいちもったいないもったいないって、ここに来るとそんなことばかり聞かされてストレスがたまるよ」
母「じゃあ、私は何も物を言わないで黙ってるしかないね」
母は節約を美徳としているのだ。節約のできる人間が価値があると思っている。母の思考回路はまずそこから始まるのである。
この親から育てられた私もまったく娯楽というものを知らない人間だった。でも、60年も生きてきたら世間の人は母のような考えではないことがわかってきた。
みんな楽しく暮らしているのだ。私は世間から見たらかなり質素な人間なのだが、母に合わせるのは限界だ。
世間には節約を生きがいにしている人間がいるのだそうで、そんな番組があったと母が言う。
だからってそんな人間が一般的な人間であるというわけではなく、多くの人間は極端な倹約家を「えらいなあ」とは思わないし、自分もやろうなんて思わない。
ことあるごとに母に言動にイラッとしてしまうのだ。
お母さん頑張って下さい。
お気持ちお察しします。
なんでも極端な信念は周囲の人間も疲れるし、あまり良くないですよね。
ちなみにあのビル・ゲイツという人はあんなに金持ちなのに来日時に接待されると贅沢だ、勿体無いとか言って感謝どころか怒るそうです。
そういう人は社会主義的思想傾向なのかなと思います。
余裕ある生活も贅沢も特に人の心を潤してくれるものなので、節約一辺倒では息がつまりますね。
>余裕ある生活も贅沢も特に人の心を潤してくれるものなので
のところ、
余裕ある生活も贅沢も時に人の心を潤してくれるものなので
と書きたかったです。
失礼しました。
うちの実家の母もちょっとクセが強くて、この歳(私50代、母70代です)になっても母娘でなかなか上手くいかないもので思わず共感してコメントさせていただいたのですが、もしご気分害されることがありましたらお手数ですが削除なさってくださいね。
失礼しました!
>すみません、間違えました。... への返信
コメントありがとうございます。
ビル・ゲイツさんってそういう人だったんですね。意外です。
本当にあまりにも質素倹約に徹するって心に余裕がなくなりますよね。共感してくださる人がいてとてもうれしいです。ありがとうございました。