詩とファンタジー№9 秋日号
投稿詩とイラストレーション
責任編集:やなせたかし
かまくら春秋社
特集:永遠の少年「忌野清志郎の詩」
対談:谷川俊太郎・やなせたかし(←これ、ゴールデン対談と呼びたい!)
今回で9冊目、たまたま切れることなく手に取ってきたものの、だんだん感激が薄くなってきて、私の感性が鈍くなってきたのかと思ったりしていたところ、今回のは初回号くらい、良いな~と思う作品が一杯でどれを紹介しようか迷うほど。
やなせたかし氏の「ふんコロガ詩」も面白かったし、
たなかひとみ氏の今時の少女が颯爽と歩む「つけまつげ」も良かったし。
傾き
北川拓磨
春夏秋冬があるのは
地球の軸が少し傾いているから
春と秋だけなら過ごしやすいけど
夏と冬があるから生物は頑張るのだ
喜怒哀楽があるのは
心の軸が少し傾いているから
喜びと楽しみだけなら生きやすいけど
怒りと悲しみがあるから人は頑張るのだ
絵・黒井健
スーパーの駐車場で
大下美奈
近くのスーパーへ娘を連れて
買い物に行く
駐車場で
一歳のあなたを
車から下ろすと
必ずあなたは
真っ先に空を見上げて
指をさす
「きれい」と言いながら
指をさす
まだほとんど言葉を
話せないあなたが
うれしそうに
「きれい、きれい」と空をみてる
どんな空の色でも
「きれい、きれい」
母親のわたしは
そのたびに
あなたの指さすほうをみて
それからあなたをみて
「ほんと、きれい」といいながら
毎回スーパーの駐車場で
抱きしめたくなる
絵・金沢まりこ
表紙もやなせたかしらしい暖かな可笑しさ。