グリーンズ・テイブル

ppのピアニッシモな戯言でござ~い☆

くじけないで

2010-06-24 12:19:39 | 
のち
「くじけないで」
柴田トヨ
飛鳥新社

詩とファンタジーで紹介された柴田トヨさんの処女詩集。



亡くなった母とおなじ
九十二歳をむかえた今
母のことを思う

老人ホームに
母を訪ねるたび
その帰りは辛かった

私をいつまでも見送る
 母
どんよりとした空
風にゆれるコスモス
今もはっきりと覚えて
 いる


母が調子悪くなり始めた頃に実家から帰るとき、木枯らし吹く中、見送りに出てきた母を思い出す。
「いいよ、中に入ってて」
「いいの、見送りたいんだから」
バックミラーにずっと映っていた…


あなたに Ⅰ

出来ないからって
いじけていてはダメ
私だって 九十六年間
出来なかった事は
山ほどある
父母への孝行
子供の教育
数々の習いごと

でも 努力はしたのよ
精いっぱい
ねえ それが
大事じゃないかしら

さあ 立ちあがって
何かをつかむのよ
悔いを
残さないために


あなたに Ⅱ

追いかけて
愛した人を
苦しめるより
忘れる勇気を
持つことが 大切よ

後になると
それがよくわかるの

あなたのこと
心配してくれる
人がいる
あなた気づかないだけ


全部90歳を過ぎてからの作品です。
身体の衰えとは裏腹にみずみずしい感性は変わらない…
そして余計なものは忘れることで削ぎ落とされ…
だけど、本当の寂しみも知る…

「九十八歳でも恋はするのよ」
という詩もありました。

未知の世界~老いていくことに勇気が湧いてくる、一つのお手本です。

楽しいこと、美味しいものは……新しい力にかわってくれる☆

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