投球フォーム・・・右オーバースローの本格派「しなるような体から140キロ台の速球を投げ込んでくる」
球種・・・ストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォーク。得意球はシュート。
1979年
・近鉄の秘密兵器といわれるルーキー香川は、大洋とのオープン戦で初勝利を挙げたが、香川本人の感想は自慢よりも苦しみだった。この大洋戦「3月4日・横浜」は、1回いきなり山下に左翼へ二塁打、つづく基に右前打、一死後マーチンに中前タイムリーを浴びて1点。さらに田代の投ゴロを併殺を焦って、悪送球する間に2点目。「おい、ブルペンでのタマを投げればいいんだぞ」顔面ソウ白の香川に西本監督はそういって肩をポンと叩いた。以後立ち直って2回から6回までは堂々のピッチング。「あの立ち上がりを思い出すとゾッとしますよ。足はガタガタするし、目はかすむ。なにしろ有田さんのサインがはっきり見えなかったんだから・・・。もう逃げて帰りたい心境でした」と初登板を述懐する。しかし2回から本来の力を見せて大洋打線はキリキリ舞い。時速140キロの速球はうなりを生じて有田のミットにすいこまれた。香川のピッチングに見入っていた大洋・山根コーチは「最初アガっていたが、あれは並みの新人じゃないね。きっと鈴木に次ぐ投手になる。フォームも出来上がっているし、スピードも満点」とうらやましそう。近鉄首脳陣は、鈴木、柳田につづく第三の投手として先発ローテーション入りを約束、うまくいけば10勝を期待している。香川の初舞台に西本監督は、もちろん合格点を与えた。「立ち上がりはアガって打たれるかと思っていたんだ。しかし後をピタリと抑えたのも予想通り。ヤツは文句なしにいける」近鉄の新人王は17年前の徳久以来だが、どうやら久しぶりで期待できそうなルーキーの登場である。
1979年
「即戦力間違いなし」入団当時から西本監督、中島スカウト部長が太鼓判を押していたルーキー香川。この新人はやはり本物だった。4月10日のロッテ1回戦「日生」村田をリリーフして7回途中から登板、2回3分の2を投げ被安打3、三振2、無失点の見事なピッチングでプロ入り初勝利を飾った。「最高です。こんなに早く勝てるなんて信じられないことです。マウンドを降りてきたとき監督と握手しましたが、なんともいえない手のぬくもりを感じました」日ごろ落ち着いている香川もこの日ばかりは興奮していた。それもそのはず、香川がマウンドに立ったときはロッテに2点リードされていたのだ。ルーキーの小気味よいピッチングが猛牛打線のカンフル剤となり、その裏、一気に爆発したのである。大砲マニエルの初ホーマーを呼び、女房役梨田の勝ち越し二塁打を誘ったのだ。「2点リードされていたし、残りの回が少なかったので、全力を出して投げた。勝負球はスライダーを使いました」先輩の励ましも大きな心の支えになった。一塁手の小川がマウンドに歩み寄ってきて「うちの打線はこんなもんじゃない。抑えていれば2点や3点はすぐはね返してやる」と耳打ちしたのだ。結果はその通りになった。「1点リードしたときはしんどいなと思い、2点リードしたときは、なんとしても守らなければいけないという気持ちが強くなって・・・プロの打者は一発があるので、最後まで勝てるとは思わなかった」と本音を語る香川。しかし西本監督の期待は大きくなるばかり。「先発、しめくくり、どちらでも十分使える」となれば「弱投」近鉄にとって願ってもない話。V1達成のカギも、この香川あたりが握ることになる。ジャンボルーキーは開幕3戦目で勝利を飾り、新人王に向けて大きな第一歩を踏み出した。
球種・・・ストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォーク。得意球はシュート。
1979年
・近鉄の秘密兵器といわれるルーキー香川は、大洋とのオープン戦で初勝利を挙げたが、香川本人の感想は自慢よりも苦しみだった。この大洋戦「3月4日・横浜」は、1回いきなり山下に左翼へ二塁打、つづく基に右前打、一死後マーチンに中前タイムリーを浴びて1点。さらに田代の投ゴロを併殺を焦って、悪送球する間に2点目。「おい、ブルペンでのタマを投げればいいんだぞ」顔面ソウ白の香川に西本監督はそういって肩をポンと叩いた。以後立ち直って2回から6回までは堂々のピッチング。「あの立ち上がりを思い出すとゾッとしますよ。足はガタガタするし、目はかすむ。なにしろ有田さんのサインがはっきり見えなかったんだから・・・。もう逃げて帰りたい心境でした」と初登板を述懐する。しかし2回から本来の力を見せて大洋打線はキリキリ舞い。時速140キロの速球はうなりを生じて有田のミットにすいこまれた。香川のピッチングに見入っていた大洋・山根コーチは「最初アガっていたが、あれは並みの新人じゃないね。きっと鈴木に次ぐ投手になる。フォームも出来上がっているし、スピードも満点」とうらやましそう。近鉄首脳陣は、鈴木、柳田につづく第三の投手として先発ローテーション入りを約束、うまくいけば10勝を期待している。香川の初舞台に西本監督は、もちろん合格点を与えた。「立ち上がりはアガって打たれるかと思っていたんだ。しかし後をピタリと抑えたのも予想通り。ヤツは文句なしにいける」近鉄の新人王は17年前の徳久以来だが、どうやら久しぶりで期待できそうなルーキーの登場である。
1979年
「即戦力間違いなし」入団当時から西本監督、中島スカウト部長が太鼓判を押していたルーキー香川。この新人はやはり本物だった。4月10日のロッテ1回戦「日生」村田をリリーフして7回途中から登板、2回3分の2を投げ被安打3、三振2、無失点の見事なピッチングでプロ入り初勝利を飾った。「最高です。こんなに早く勝てるなんて信じられないことです。マウンドを降りてきたとき監督と握手しましたが、なんともいえない手のぬくもりを感じました」日ごろ落ち着いている香川もこの日ばかりは興奮していた。それもそのはず、香川がマウンドに立ったときはロッテに2点リードされていたのだ。ルーキーの小気味よいピッチングが猛牛打線のカンフル剤となり、その裏、一気に爆発したのである。大砲マニエルの初ホーマーを呼び、女房役梨田の勝ち越し二塁打を誘ったのだ。「2点リードされていたし、残りの回が少なかったので、全力を出して投げた。勝負球はスライダーを使いました」先輩の励ましも大きな心の支えになった。一塁手の小川がマウンドに歩み寄ってきて「うちの打線はこんなもんじゃない。抑えていれば2点や3点はすぐはね返してやる」と耳打ちしたのだ。結果はその通りになった。「1点リードしたときはしんどいなと思い、2点リードしたときは、なんとしても守らなければいけないという気持ちが強くなって・・・プロの打者は一発があるので、最後まで勝てるとは思わなかった」と本音を語る香川。しかし西本監督の期待は大きくなるばかり。「先発、しめくくり、どちらでも十分使える」となれば「弱投」近鉄にとって願ってもない話。V1達成のカギも、この香川あたりが握ることになる。ジャンボルーキーは開幕3戦目で勝利を飾り、新人王に向けて大きな第一歩を踏み出した。