プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

宇佐美敏晴

2016-12-15 23:11:33 | 日記
1966年

報知新聞社、読売新聞社主催、いすゞ自動車協賛のイースタン・リーグ巨人・東映戦は、十日、八王子市営球場で、恒例のアトラクションにつづいて行われ、巨人が宇佐美の力投で勝った。これで今シーズン、巨人は35勝13敗で公式試合を全部終えた。
「優勝がきまったら一軍で投げさせてみたい」(北川コーチ)という成長株宇佐美が完投勝ちした。「宇佐美は一球一球をとってみたら堀内よりいいときもある。球速も一番あるしコントロールもいい。だがムラがある。これがもう少し安定してくれば、一軍でも十分通用する」という北川コーチ。十一安打、4失点は上できとはいえないが、コーナーいっぱいをつくストレートと堀内ばりの大きなカーブはかなり効果的で、10三振を奪った。「後半ちょっとバテました。一軍?できれば投げさせてもらいたいです」と宇佐美は目を輝かせていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

登記欣也

2016-12-15 22:27:09 | 日記
1982年

「あと一年ぐらいはやれるという自信がありましたが・・・。自分で踏ん切りをつけました」五十三年のドラフト一位・登記(帝京五高ー神戸製鋼)が四年間の現役生活にピリオドを打ち、今季限りでユニホームを脱いだ。社会人時代は1㍍72の小柄ながら五種類以上の変化球を投げ分け「即戦力」と期待されて入団。しかし、ファームでは四年間で通算22勝19敗14セーブの成績を残したが、一軍では一年目に阪急戦で一イニングを投げただけ。「未練は残りますが、ここらへんがいいタイミングだと思いました。まだ次の仕事は決めていませんが、娘(美穂ちゃん)も来年二月で満三歳になるのでがんばります」とひょうきん者でチームメイトから親しまれた男はけじめをつけて球界を去っていった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

渋谷誠司

2016-12-15 22:01:19 | 日記
1963年

根来捕手がフラフラになってため息まじりにいった。「サインどおりに一本もこないんだからね。ボール、ボールで気が気でなかったよ」巨人を四安打9三振でシャットアウト。だが内容は8四球と荒れまくったという不思議なピッチングだった。もっとも渋谷の不思議さはいまにはじまったものではない。五月十一日の対巨人戦で一安打の完封勝ちをしたかと思うと、すぐそのあとの大洋戦で、五回投げて三安打7四球で無失点。そうかと思うと快調な出足をみせながらたった一本の本塁打でKOをくったり・・・。四度のチャンスに死球一つだけであとの三度を凡退した長島は「ボールを散らしてきたのがよかったよ」という。だが渋谷は頭をかいた。「根来さんもいってました。どこへくるかわからんって・・・。ええ、考えて散らしたんじゃないですよ。ボールまかせに投げただけです。そんな考えるなんてことまだまだ・・・」首をふりふり最後は聞こえないくらいボソボソとした声。ロッカー・ルームのマッサージ台にすわり込んで、まだ荒い息をついている。そばからひやかすのが大好きな豊田が「渋谷さん、あちらのインタビュー室でどうぞ。ところでどんな球がよかったんですか」顔を真っ赤にした渋谷は、それでもやり返した。「そうですね。運がよかったんです」これには豊田も「おそれ入りました」と最敬礼。「大きいのを打たれるくらいなら歩かした方がいいと思ったんですよ。別に長島さん、王さんにはどうしようなんて考えなかった。でも、いつもピンチのときはあの二人がボックスに立ってるんですからねぇ。いやんなっちゃった」打たれた安打のうち王が二本。国松が一本と左打者に三本。「なんで左にやられるんかわからないんです。もっともなにをしてもわけのわからないことばかりやってますからね」これで二度目の完封勝ち。それも巨人戦にだけというもの。「大きらいですよ、巨人は。なんでうまく投げられるかって?やっぱり運がよかったんでしょうよ。だいたいぼくは四回戦ボーイですからね」ピンチになったときは「赤い旗を振って、助けてくれとさけびたくなった」などというウィットに富んだ話もする渋谷。砂押コーチ、豊田、鈴木とおとぼけがズラリとそろっている国鉄のなかでも最右翼というのがこの渋谷だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

島田源太郎

2016-12-15 20:49:46 | 日記
1963年

ゲームが終った。大洋のベンチはえらい騒ぎだった。「ゲン、ゲン」と島田(源)の久しぶりの快投をほめる声でうるさいほど。マックやクレスまでが「ゲンタロー」とよくまわらないシタで大声をあげる。本人はあっさりした顔だった。それは大洋が日本シリーズに勝って大騒ぎされたころの島田(源)の顔だった。答え方もそっけない。
ーことしで一番のピッチング?
「そうね。でも点をとられちゃダメだね」
ーカーブがよく切れていたけど・・・。
「そうね。でも後半はあまりね」
ー王、長島と三振させたのは考えていたピッチング?
「そうね。でもよくわかんない。バッターにきいてください」
ー柴田の足をずいぶん意識したようだけど・・・。
「そうね」といったぐあい。ベンチでの話も自分から切りあげ、ロッカーへ向かった。しかしのんびりした性格で、別にあわてて戻る気配もない。ベンチを出ようとしたところでこんどはカメラマンにつかまった。「ちょっと笑ってくださいよ」の声には「エヘヘ・・・」でおしまい。だがロッカーへ戻ると島田(源)の顔はいやにきびしくなった。オールスター戦前から調子があがってきた理由を聞かれたときからだ。「去年もよくなかった。ときどき思い出したんです。ウチが優勝したときのことをね。そしたらたまらなくなってきたんです。このまま終わりたくない。だからことしはずいぶん練習もした。ブルペンで投げてみる感じも、優勝した年と同じような気分になってきました。ON砲?そんなの特別意識しませんよ。第一長島の三冠王なんてつくられた投手として恥です」内容はグッと迫力があった。しかしこれもひととおりしゃべるとまたテレ笑い。「やっぱり多勢の人に囲まれるってのは気持ちがいいもんですね。囲まれないより囲まれる方がいいや」フロ場へはダイビングのようにとび込んだ。三年前のアダ名はおとぼけのゲンとテレ屋のゲンの二つがあった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

田中調

2016-12-15 20:30:53 | 日記
1967年

阪急に勝ったときは必ずカーブの切れがよかった。つまり阪急は比較的カーブに弱いということがいえる。だがちょっとでも切れが悪いときは打たれた。阪急にはヤマをはる打者が多いが、その中でも相手投手がもっとも得意とする球にヤマをはる打者が多い。これは打者にとっても危険なことだが、投手にとっても実にいやなことだ。ぼくの場合はカーブにヤマをはられたわけだ。上から落ちてくるカーブなどは感心するほどよくコースを運ばれた。まずこんなクセをのみ込んで向かうことだ。そうすればそれほどこわい打者はなくなる。ウィンディにはしばしば痛い目にあわされたが、これだって甘いカーブをねらい打ちされていたからだ。左投手の内角球も好きなタマのひとつ。押えるためには外角へのスライダーか外角への速球がいい。同じ外人でもスペンサーは左投手が出てくると左右へ打ち分けようとする。きっとボールがよくみえるからだろう。しかしその微妙な動きはかまえ方でわかるから、スピードをかえたりして打ち気をはずしてやることだ。長池はカーブでカウントをかせいでおき、外角速球かシュートで攻めて成功した。やたらに引っかけるから、カーブでの勝負はあまり感心しない。よくカネさん(巨人・金田)にぼくのカーブが似ているといわれるが、最近のカネさんのカーブは角度はあってもスローカーブが多い。切れがないだけに長池などには一番危険なように思う。とくに右打者が多い阪急は、それでなくても左投手をねらっているのだから。しかし、なにがなんでも塁に出したくないのが森本、山口、阪本、住友らだ。ほんとうにうるさいという感じとなる。とくに阪本の打球はよくのびるから注意しなければいけない。内角で勝負することだ。住友も外角は強い。森本も内角いっぱいの速球が一番成功した。とにかく阪急打者は強気だ。よく振ってくる。これをかわそうと思ったらダメだ。あくまで勝負していくこと。そのためには第一にコントロール、第二に変化球と速球とのコンビネーションが必要だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桑田武

2016-12-15 19:59:53 | 日記
1962年

横浜市鶴見区東寺尾の桑田武選手宅ー日当たりのいい裏庭で桑田が長男・武将(たけまさ)ちゃん(四か月)をさかんにあやしている。「気味が悪いほど似てるでしょう」と笑う桑田。母親のともさんが桑田の小さいときの写真を持ってきたが、なるほどそっくりだ。「毛がちょっとうすくて顔がクリクリしていて、武が一度生まれてきたのかと思うことがあるんですよ」とともさん。そんな親子のやりとりをみていた千鶴子夫人が桑田にいった。「似てる、似てるといわれると、とてもうれしそうな顔をするわよ」武将ちゃんの誕生日は二月二十日。巨人の長島選手と同じ日だ。「偶然なんでしょうけど、とてもいい足腰をしているんですよ。それに尾崎君(東映)と同じハト胸だし・・・」応接間の長イスにはらばいにさせて背筋力をつける運動をさせる桑田の顔はひとりでほころぶ。すでに金の卵の素質?をもっているようなピチピチした武将ちゃんの動き。「こちらにいるときは必ずフロにもいれてくれますし、朝起きたらすぐダッコ。まるでオモチャみたいにはなさないんですから・・・」夫人も驚くほど子ぼんのうな桑田。「去年まではナイターになると球場へ出かけるまでの時間が退屈でしようがないときがあった。ことしはごらんの通りでしょう。私生活も充実していますよ」桑田の言葉がはずんだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山本秀一

2016-12-15 00:17:28 | 日記
1967年

同点で迎えた延長十回裏、一死一、三塁のチャンスに打席に向かう山本の顔面はそう白だった。というのも九回の守備から遊撃にはいったばかり。今季初打席というからムリもない。しかし、そこはプロ生活八年目である。一球ごとに顔に赤みがさしてきた。大時計が午後十時十分をさした時間ぎれ寸前、2-2後の五球目、山本のバットから白球が中堅右へ飛んだ。手をたたいてホームを踏むバーマ。一塁に走りこんだ山本を中西監督が抱えこむように祝福の握手。「今季初打席が初安打、しかもぼくにとって初めてのサヨナラ安打になるなど、なんともいえない気持ちです。打席に立ったときスクイズのサインが出るかと思ったが、なかなか出ないので打つ以外にないと思った。第一球がカーブおそらくカーブ攻めでくるとにらみ、とにかく右に流そうと待っていた」そこへおあつらえ向きに高めのカーブがはいってきた。山本の読みがみごと当ったわけだ。山本は先日のウエスタン・リーグの試合で南海の高橋捕手からスパイクされ、左足首がはれ上がっている。このためこの日は家で休んでいたところを電話で呼び出され、ベンチにはいったばかりだった。八回同点打をたたき出した代打植田といい対南海戦に万全の構えをとていた西鉄ベンチの慎重さがみごとに実ったといえる。山本は和歌山商出身で南海から西鉄に移って五年になる。その古巣南海から劇的なサヨナラ安打を打ったのも宿縁といえよう。南海仕込みのしぶとさでみごと恩を返した山本の表情は喜びにあふれていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高橋善正

2016-12-15 00:03:16 | 日記
1967年

これで西鉄には二試合連続の完封、八月二十七日の同じ西鉄戦から数えて二十六イニング無失点だ。七月中旬に右ヒジを痛め、夏場で十日間ばかり休場したブランクも、涼しくなってから一気に取り戻し、すばらしいダッシュで新人王にスパートしている。「大学時代からクセになっている春秋のリーグ戦型がまだ残っているせいかな。大学時代もそうだったが、秋になると勝ち星がふえるんですよ」と笑っていた。試合前、その好調のきっかけをこんなふうに説明した。「外角に落ちる球とスライダーのように流れるシュートが決まりだしたからでしょう。八月の中旬になんとなしにおぼえたんですよ」高知商時代はカーブでならした高橋が、得意の内角にくい込むシュートをおぼえたのも、やはり偶然だったという。両サイドに投げわけられるようになってすっかり自信がついたらしい。登板する前、金山コーチから「あまりたべるなよ」と注意されたが「いや、だいじょうぶですよ」とドライカレーをたらげてゆうゆうとマウンドにあがった。14勝で新人王の最低条件といわれる15勝にあとひとつとなった試合後は「もう確実になった?いや、とてもとても」とけんそんした。「一回裏、白の右翼フライを二塁打にしてくれた相手の青野さんに感謝しなくちゃ。それと三回一死一、三塁でファイン・プレーをした三塁佐野さんにも助けられて勝ったようなものですよ」高橋は勝ったとき、必ずといっていいほどまずバックをほめる。この人柄が報道陣にも好感をもたれ、ますます新人王当確の声に結びついているようだ。大下という同じチームのなかにライバルもいるし、それだけに神経を使っている。最近、自分にまた注文をつけた。それは最低18勝すること。「もし、もらうとするなら、仲のいい大下も納得するような成績を残してからにしたい」ライバルも納得させたいというところがいかにも高橋らしい。最近は髪をのばすため床屋にいっていない。大学時代からのガール・フレンドとことしの暮れ、結婚することが内定したためで、式の日取りも十二月中旬に決めているという。髪をのばしたのは結婚式にきれいに七三にわけたいため。「ひそかにねらう」という言葉を高橋はいやがるが、新人王のタイトルを未来のワイフにプレゼントすることを考えていないといったら、それはウソになるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする