1967年
長島(二割五分九厘)の攻め方は、打撃練習のときに腰がすわっているか、落ち着きがなくおよいで打っているかを見きわめることがポイントになる。腰がどっしりすわっているときは内角高め、外角低めは禁物だ。腰のふらついているときは逆で、外角の高い球でも泳ぎながらスタンドまで運び込んでしまう。だから、こんなときは内角の高めと外角の低いコースに配球する。その日のコンディションを試合前に読みとってしまえば、あとは比較的料理しやすい相手だ。王(四割九厘)にはよく打たれた。警戒しすぎはまずい。有利なカウントに追い込んでおきながら変化球でコースをねらってボール数を多くし、結局カウントがつまってしかたなく勝負にでたところを打たれたのが多かった。逃げるのが一番いかん。ポンポンとストライクをとったところでもうひとつポンと速球で攻めれば意外ともろい。変化球でかわそうなどという弱気は失敗につながる。これは巨人打線全体にもいえることだが、土井や黒江は有利なカウントになったら、迷わず強気に攻めること。そうすればハッとしてあっさり凡退というケースが多い。サイン・プレーが徹底しているチームの盲点なのかもしれんな。いまひとつ、巨人の打者は横の変化にはよく目がついていくが、高低の変化にはもろい共通した欠点がある。高めからストライク・ゾーンいっぱいに落ちるシンカーは効果的だ。内角高めならボールくさい球でもホームランにする柴田でさえも、内角高いところからシンカーを落とせば球についていけずに苦しんでいる。同じタイプでよくひきあいにだされる阪急の足立くんなど、シュートの使い方がポイントになると思う。カーブと落ちる球に目をならさないよう、ホップする速球とシュートをどう使っていくかがカギだ。その点、昨年まで産経にいた根来の頭脳は貴重な存在だ。ことし連安打をあびなかったのは巨人打者の弱点がだいたいわかったこともあるが、打者との勝負を考えなかったのがよかった。つまり相手の投手と投げくらべ、力くらべをやっていると思えば、両リーグ一の高打率を誇る打線の重圧感から解放されるというわけ。恐れずに、強気で早め早めに勝負をかける。そうすれば巨人はいともかんたんに弱いチームになってしまう。
長島(二割五分九厘)の攻め方は、打撃練習のときに腰がすわっているか、落ち着きがなくおよいで打っているかを見きわめることがポイントになる。腰がどっしりすわっているときは内角高め、外角低めは禁物だ。腰のふらついているときは逆で、外角の高い球でも泳ぎながらスタンドまで運び込んでしまう。だから、こんなときは内角の高めと外角の低いコースに配球する。その日のコンディションを試合前に読みとってしまえば、あとは比較的料理しやすい相手だ。王(四割九厘)にはよく打たれた。警戒しすぎはまずい。有利なカウントに追い込んでおきながら変化球でコースをねらってボール数を多くし、結局カウントがつまってしかたなく勝負にでたところを打たれたのが多かった。逃げるのが一番いかん。ポンポンとストライクをとったところでもうひとつポンと速球で攻めれば意外ともろい。変化球でかわそうなどという弱気は失敗につながる。これは巨人打線全体にもいえることだが、土井や黒江は有利なカウントになったら、迷わず強気に攻めること。そうすればハッとしてあっさり凡退というケースが多い。サイン・プレーが徹底しているチームの盲点なのかもしれんな。いまひとつ、巨人の打者は横の変化にはよく目がついていくが、高低の変化にはもろい共通した欠点がある。高めからストライク・ゾーンいっぱいに落ちるシンカーは効果的だ。内角高めならボールくさい球でもホームランにする柴田でさえも、内角高いところからシンカーを落とせば球についていけずに苦しんでいる。同じタイプでよくひきあいにだされる阪急の足立くんなど、シュートの使い方がポイントになると思う。カーブと落ちる球に目をならさないよう、ホップする速球とシュートをどう使っていくかがカギだ。その点、昨年まで産経にいた根来の頭脳は貴重な存在だ。ことし連安打をあびなかったのは巨人打者の弱点がだいたいわかったこともあるが、打者との勝負を考えなかったのがよかった。つまり相手の投手と投げくらべ、力くらべをやっていると思えば、両リーグ一の高打率を誇る打線の重圧感から解放されるというわけ。恐れずに、強気で早め早めに勝負をかける。そうすれば巨人はいともかんたんに弱いチームになってしまう。