1994年
「MAX140㌔」うんぬんの「肩書」はよくある話だ。だが、たいていの場合、本当の球速はそこから何㌔かは差し引いて考えなければ、いけない。ところが、金森は違う。こと速さに関しては掛け値なし。「体調さえ万全なら・・・」という自信を持っている。関西大学球界最速男が最後の年に、MAX150㌔の大台に手を掛ける可能性は非常に高い。ケタ外れの潜在能力を眠らせて、大学生活を過ごしてきた。和歌山・耐久高時代は1年春からベンチ入りしたものの、2年秋の県大会8強が最高成績と、全国的には全く無名に近い存在だった。それでも、3年秋に数球団がドラフトの最終リストまで残していたあたりに、その素質のほどがうかがえる。実際、大学では2年春のリーグ戦からベンチ入りを果たし、同秋には3勝をマーク。その年末の全日本・鴨川合宿に選ばれている。大器の片リンが顔を見せたのは、3年春のリーグ戦のこと。ネット裏のスピードガンが147㌔をマーク。「この状態なら、今すぐでも一軍で使える」(広島・宮本スカウト)と、スカウトのド肝を抜いた。グラブを天に突き上げるようなワインドアップ。100㌢を超えるヒップが象徴するどっしりとした下半身、近鉄・野茂を思わせるような投球フォームはスケールが大きい。ところが、故障が金森の飛躍を頭打ちにしてきた。昨年夏の関西学生野球選抜米国遠征の疲れを残し、秋のシーズンに入った。投球フォームは崩れ、球速も140㌔が精一杯「考えれば、考えるほどに崩れてしまって・・・」とスランプ五輪カップの合宿ではとどめの腰痛。持ち前の豪快さが消えてしまった。ライバル・同大のエース・小塩が昨秋、リーグMVPを獲得。全日本に選抜されるなど、脚光を浴びた。「アイツはアイツですから」といいつつ「でも、負けたくないという気持ちも少しある」と、悔しさはやはり胸に残る。今秋のドラフトへ向けて、間違いなく注目されていく二人だが、プロのスカウトは「将来性、スケールでは金森。1位候補」という声が大勢を占める。古都の怪物には勝負の年だ。「もう腰もなんともないです。体調もきっちり整えていきます」と派手なセリフは口にしない。普通にシーズンを送ったならば、球速が150㌔を超える日はそう遠くない。
「MAX140㌔」うんぬんの「肩書」はよくある話だ。だが、たいていの場合、本当の球速はそこから何㌔かは差し引いて考えなければ、いけない。ところが、金森は違う。こと速さに関しては掛け値なし。「体調さえ万全なら・・・」という自信を持っている。関西大学球界最速男が最後の年に、MAX150㌔の大台に手を掛ける可能性は非常に高い。ケタ外れの潜在能力を眠らせて、大学生活を過ごしてきた。和歌山・耐久高時代は1年春からベンチ入りしたものの、2年秋の県大会8強が最高成績と、全国的には全く無名に近い存在だった。それでも、3年秋に数球団がドラフトの最終リストまで残していたあたりに、その素質のほどがうかがえる。実際、大学では2年春のリーグ戦からベンチ入りを果たし、同秋には3勝をマーク。その年末の全日本・鴨川合宿に選ばれている。大器の片リンが顔を見せたのは、3年春のリーグ戦のこと。ネット裏のスピードガンが147㌔をマーク。「この状態なら、今すぐでも一軍で使える」(広島・宮本スカウト)と、スカウトのド肝を抜いた。グラブを天に突き上げるようなワインドアップ。100㌢を超えるヒップが象徴するどっしりとした下半身、近鉄・野茂を思わせるような投球フォームはスケールが大きい。ところが、故障が金森の飛躍を頭打ちにしてきた。昨年夏の関西学生野球選抜米国遠征の疲れを残し、秋のシーズンに入った。投球フォームは崩れ、球速も140㌔が精一杯「考えれば、考えるほどに崩れてしまって・・・」とスランプ五輪カップの合宿ではとどめの腰痛。持ち前の豪快さが消えてしまった。ライバル・同大のエース・小塩が昨秋、リーグMVPを獲得。全日本に選抜されるなど、脚光を浴びた。「アイツはアイツですから」といいつつ「でも、負けたくないという気持ちも少しある」と、悔しさはやはり胸に残る。今秋のドラフトへ向けて、間違いなく注目されていく二人だが、プロのスカウトは「将来性、スケールでは金森。1位候補」という声が大勢を占める。古都の怪物には勝負の年だ。「もう腰もなんともないです。体調もきっちり整えていきます」と派手なセリフは口にしない。普通にシーズンを送ったならば、球速が150㌔を超える日はそう遠くない。