1991年
北海道育ちの吉井にとって、この夏の高温多湿は初めての経験。「この暑さの中で、どれだけ投げられるかが勝負」と、口にする。また、「北海道は技術的レベルが高いほうではなかった。長い冬の間に、しっかりと足腰は鍛えていたので、体力面では負けない自信はあるが、技量はどうしても劣る。榎の活躍に最初は焦りましたが、ボクはまだこれからワザを身に付ける、ということで、今はマイペースです」とも。北国出身のハンデに負けない、シンの強さもある。指名の話が来たとき、吉井自身は迷ったという。「社会人にいって、それからでも・・・」ところが、両親はじめ、周囲の「プロが将来性を認めてくれたんだから」という助言に、本人もヤル気に。「身近にいい投手を見られるのは、自分の成長には計り知れないプラスに。今では、プロ入りは正解だったと思っています」「身近ないい投手」の代表格が、現在ファームで調整中の牛島和彦投手。同タイプなだけに、学ぶことも多い。「フォームのしなやかさとか、タメとか、牛島さんのような投げ方がいいな、と思っているんです。それと、一時期、フォークが落ちなかったり、グラブの使い方で球種がバレる、というときに、丁寧に握り方や対処法を教えてくださって」フォークのほかは、スライダー、シュート。カーブはない。「中学のとき、カーブをマスターしようと練習したんですが、思うように曲がらない。遅いだけなんです」そこで出てきたのが、「投げてみたらどうだ」というフォーク。今は、このフォークでカウントを整えられるような投球を心がけている。現在、ロッテのファームは、イースタンの優勝を狙える位置にいる。「マウンドでは、抑えなきゃ、というプレッシャーの中で投げています」という吉井。中継ぎ、抑えという役回りがほとんどだが、「いずれは一軍の先発ローテーション入りが目標」そのために、「まだまだ」という投手守備、連係プレーを鍛える一方、暑い夏場を乗りきれるよう、走り込み、投げ込みにも余念がない。一軍で、140㌔の速球とキレのあるフォークで打者をキリキリ舞いさせる日も、遠くないだろう。