想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

3R、おいしく食べて生きましょう

2010-01-21 23:08:44 | Weblog
つかの間の晴れ。
すぐにお日様は雲がくれするけど、ひなたぼっこしたいなあ。
風は静まったけど気温があがらず、あまり長く外にいられない。
真冬だからな、しゃあないな、…。
この場所を捨てて町へ降りていかざるをえなかった元移住者の
苦労をひしひしと感じるのがこの季節である。



むかし山村の冬は食べる物が不足した。なかでも野菜がなかった。
秋採れた菜っ葉類を漬け物にしたり根菜類を干したりする工夫が
できる場所はもっと降った低地である。
ここみたいな山麓では一年を通して日照が足りず雨と風が厳しすぎて
野菜もイモも難しかったと聞いた。
母が育った村も同じような土地だったらしい。わたしは生まれて間もなく市街地から
母の実家のある土地へ移り住み子ども時代をそこで育った。けれども当時、野菜に
不自由していた記憶はなかった。それは、高原野菜を地場産業にした農家が増え、
山村にも新しい農業技術やそして何より農薬の時代になりつつあったからである。
大変驚いて母の苦労話を聞いたのであった。海から隔たって魚が貴重だということ
は想像がつくが、野菜がないことなど思いもよらなかった。
土があれば植物は育つくらのことしかわたしは考えていなかったのである。

岐阜県中津川はヒノキの産地。
それが「ちこり」を育てて生産量日本一だという。
家庭の食卓ではなじみのない「ちこり」もイタリアンやフレンチの
レストランではよくみかけるので消費量もそれなりにあるのだろう。
野菜のスプラウト(新芽)を数種類、ネット通販で買ったのだが、
オマケ好きの購入動機はそれがダンボール箱ではなくヒノキの箱入り
だったこと。木箱ってなかなかオシャレなのである。
色も三種類あって生成りとオーク色と焦茶とあって生成りを選んだ。

届いたスプラウトを早速サラダに。ドレッシングはオリーブオイルと塩。
抗酸化食物のトマトちゃんを添えてばっちりである。
日中、電話の重なってエライ疲れた日だったが、新芽の栄養素がバシバシ身体を
かけめぐり、血が清められてサラサラと巡っていくような気がするのである。
身体は正直なので、と言いたいところだが身体が先ではないんだな、これが。
気持ちの問題。

町、村起こしは困難な仕事である。
この「ちこり」生産はもやし栽培と同様の方法で育てられている。ちょっと違うのは
最初の行程だけである。多種類あるスプラウトも同様にして栽培されている。
一種類の作物に頼らず、多種多彩、方法は一つ、これは効率的だ。
そして、売るためのコンセプトも一つである。
これを考えついた人は、単に食物を生産して売る、買ってもらおうということだけを
考えたわけではないようだ。
買う側と売る側に同じように必要なことは何か、すべての人に大事なことは何かという、
言ってみればあたりまえのことを、しかしビジネスの現場では見落とされがちなこと
(利益追求に走るあまり)に軸足を置いている。
それが3R、リデュースReduce リユースReuse リサイクルRecycleだ。
これは新しい試みであるし、かつ有意義である。ビジネスは儲からなければ意味がない。
だからといって四半世紀前のようになりふりかまわぬ商法に消費者はついてこなくなっている。
ちょっとくらい悪いことしなきゃ儲からない、やったもん勝ち、言ったもん勝ちで
真実などどうにでも作り出せるなんてことをいまだにホザイている人もいるけど、狭いなあ。
狭すぎる了見でしかないのでいずれ破綻する。
正しく、まっすぐの方がよほど効率がいい、なにより気持ちがいいということを知っている
人がけっこうたくさんいる、不景気な話ばかりでもないのである。

継続すること、そして発展させること、それには気持ちいいを実感しつづけることだ。
まだコアかもしれないが、食物は生きることの基本、そのことを真剣に考え、作る人にも作物
にも敬意をもって相当の対価を払うことを考えている人たちがいる。
それが気持ちいい、おいしいを与えてくれると知っている人たちがいる。
健康の秘訣はまずなによりノンストレスで作ることだということを昔の人は知っていたわけで、
もともと日本はそういう国であったはずだよね。イライラしながら金勘定ばかりでは旨くないし
お天道様に恥ずかしい、そういう農耕民族の基本が原点にある。



サラダのあとの楽しみは京都のオオヤコーヒーだ。
生豆から買って焙煎して楽しもうという人には、それならフェアトレードで仕入れた問屋で
できるだけ購入しようねとレクチャーも忘れない大宅さんが焙煎したコーヒー豆なのであるよ。
よって値段は安売り競争している珈琲豆屋に比べると高い、当然な値段である。
今回入手したものは100gで700円のコロンビア、大宅さんが卸しているカフェから取り寄せた
ので実際はもっと安いだろうけど、このカフェもボッタリしないような感じ(建仁寺の隣)だし。
良心的で、おいしい。
安いものをガブガブじゃなくて、一杯を丁寧に淹れて「ふおー」とか言いながらいただくのである。
冷蔵庫の野菜室は届いたスプラウトで満室状態、賞味期限は3日。3日分以上ありそうな‥‥。
毎日食べなきゃならんが、見ているだけで美しくなりそうな気がする。菜食中心のうさこには
安心の冷蔵庫風景である。

食べることは生きることなのである。
できればおいしく生きたいのであれこれと遊んでいる。
遊んだあとは、このからだとこころでなにをReするか、そこんとこであるなあ。
とりあえず腹一杯で寝る、というふうにはならないので○。

コメント
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